リップルラボの最高技術責任者(CTO)であるデビッド・シュワルツ氏は、仮想通貨業界に対する米規制当局の対応は、急成長する仮想通貨企業に損害を与える可能性があると述べた。
リップルのCTOは、仮想通貨・ブロックチェーン企業の多くが米国でスタートするか、もしくは規制環境悪化を理由に海外への移転を検討していると、コインテレグラフに語った。シュワルツ氏は、証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)、金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)といった米国の規制当局が林立するのを「重複するシステム」であると指摘。これらの組織の間で、デジタル資産が証券であるのか通貨であるのかで合意に達しない可能性があるとも述べた。
「どの法律が適用され、新しいものにどのように適用されるのかを理解することは非常に難しい」と、シュワルツ氏は語った。「ほかの国では一般的には見られないことだ。ルールを作成する組織が複数ある」。
「米国は、明白な規制リスクがある数少ない国の1つだ。規制当局があなたの方を向いて、次のように言うだろう。『あなたが5年間、公の場でずっとやってきてきたことがありますね。それは実はずっと違法なことでした』」
シュワルツ氏のコメントは、2020年12月にリップルがSECからの訴訟に直面したことを反映したものだ。SECはリップルが13年に行ったXRP販売を未登録の証券販売だったと判断し、リップルと同社のガーリングハウスCEOおよびラーセン会長を告発した。
シュワルツ氏は、以前から規制当局がリップルをターゲットにするリスクを懸念していたと述べ、リップル以外の仮想通貨企業においても同様のリスクが存在すると主張した。
SECによる訴訟が報じられて以来、いくつかの仮想通貨取引所がXRPの取引を一時停止するか、もしくはトークンを上場廃止にした。グローバルな送金サービスのマネーグラムも、リップルとのパートナーシップを解消している。
SEC訴訟に対するリップルの主張は、XRPはビットコインやイーサリアムと類似したものというものだ。BTCとETHはどちらも規制当局から商品として分類している。2013年にXRPが最初にリリースされてからSECが訴訟を起こすまでに8年かかったが、XRPの性質はほとんど変わっていない。シュワルツ氏は「米国の規制当局に対する私の推奨事項は、世界のほかの地域をみて、道を踏み外さないことだ」と述べている。