米ドルの価値が2003年以来最大の年間下げ幅を記録し、円や人民元などの通貨に対して3カ月ぶりの安値で2017年を終えることになりそうだ。

 一方、時価総額25兆円を有する最大規模の仮想通貨であるビットコインは年初から13倍上昇。リップル、ライトコイン、ダッシュやイーサリアムは更に伸びた。

 この対比は18年を迎えるにあたって非常に示唆的だ。

Bitcoin Price

 エバーバンクの国際市場担当部長クリス・ガフニー氏など複数のアナリストがロイターに語ったところによると、米ドルの価値は2018年通してさらに下落する可能性が高く、短期的な回復の兆候も見られないという。

 エグザンテ・データのジェンズ・ノルドビッグCEOもCNBCに対し、これほど大幅な下落後には回復を予想するのがアナリストにとっては普通だが、今回は大半のアナリストが米ドルに対して負のバイアスを持っているとした。

 「金利がかなりの速度で上昇することを考えると異例のことだが、われわれはドルに対して負のバイアスを持っている。ドルが1月前から強くなりすぎてしまったほか、もう一つ世界的にかなり強い成長が見られるという要因もある。」(ノルドビッグ氏)

 今年に入って加速した仮想通貨の値上がりは、国家から分離された金融に対するニーズの高まりを示すものかもしれない。

 非中央集権型仮想通貨取引所シェイプシフト社のエリック・ヴォーヒーズCEOは「なぜビットコインは今後も成長を続けるのだろうか?それは、通貨と国を分離するときが来たからだ」と述べている。

 「短期的なバブルは投機によるものであることは同意する。しかし長期的な価格上昇は、国家から独立した金融の根本的有用性が根拠になっている。」(ヴォーヒーズ氏)

 ちなみに米10年国債の利回りをみるとここ30年下落し続け現在は最低水準になっている。

UST

 これをもとに、巨大なバブルが形成されているのはビットコインではなく、従来の金融の世界においてだという意見も根強い。

 来年仮想通貨市場と従来の金融市場がどう動くか。注目が集まっている。