イーサリアムをベースに構築された分散型保険プロトコルのアンスラッシュド・ファイナンス(Unslashed Finance)が、そのトークン化された保険製品のための資金として200万ドルを調達し、ブロックチェーン技術の別の有益な利用事例を強調している。

レムニスキャップやP2Pキャピタル、その他の投資家の主導による今回の資金調達ラウンドは、アンスラッシュド・ファイナンスがその暗号資産向け分散型保険プロトコルを拡張するのを支援する。このプロトコルは、資産として保険を購入する意思のある人々と、相関関係のない収益を得ようとしている投資家たちを結びつけることで機能する。

アンスラッシュド社の主張によれば、同社のプロトコルが「保険購入者やリスクテイカーに対するほぼ即時の流動性」と、持続的な担保化を可能にするという。このプラットフォームは補償をトークン化することで、保険契約者が外出時に保険料を支払ったり、もう補償が必要なくなったら簡単に処分したりすることを可能にする。

この保険は、取引所やスマートコントラクトのハッキング、バリデータのスラッシング、ステーブルコインのペグ、オラクルの不具合、および伝統的な企業では保証しないその他の種類のリスクを補償対象とする。

アンスラッシュド・ファイナンスは2月に初めてプライベートローンチして以来、4億ドルの保険契約を販売し、9000万ドルの資本預託を集めてきた。同社のクライアントには、パラスワップ、イーサリアム・リド・ファイナンス、エンザイム、テックエミー・キャピタルなどが含まれる。

「成長は純粋にオーガニックだった」と、アンスラッシュド社のマロウアン・ハジ創業者兼CEOはコインテレグラフに話す。同氏の説明によれば、保険購入者の約3分の1が自分自身を保護しているプロトコルで、20%が仮想通貨ヘッジファンド、残りがDeFiのパワーユーザーだという。

ブロックチェーン保険製品の未来に関して、ハジ氏は銀行業界や保険業界は「新たな技術に関して動きが遅い傾向がある」と述べる。

「一部の保険会社はかなり早い時期(15/16年)にパブリックやプライベートのブロックチェーンを試していた他、マッキンゼーは当時、保険業界でブロックチェーンの利用事例がいくつか生まれる可能性があることを説明する報告書を公表したものの、パブリックブロックチェーン上での実際の応用は伝統的な業界プレイヤーたちの焦点ではない」

ブロックチェーンベースの保険業界は、DeFiブームの観点からすれば成長しているように見える。ますます多くのユーザーが、中央集権型取引所のハッキングに対する補償を求めるからだ。現在のところ保険による補償は非常に高価ではあるが、市場が成熟を続けるに連れ変化する可能性がある。

クレジットカード発行会社のアメリカン・エキスプレスはかつて仮想通貨保険市場に関し肯定的なコメントを行ったことさえあるものの、主要な発行会社は非常に慎重な態度を取っていると指摘した。この懸念は、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨は実質的に現金同様の無記名資産であり、当該資産の潜在価値を受け取る権利は保有者に対して与えられるという事実から生じている。

「その結果、誰かのビットコインが盗まれた場合、そのビットコインを実際に保有していない限り正当な持ち主を立証するのが難しい」と、アメリカン・エキスプレスのジャスティン・グレンシング氏は言う。