中東の金融サービス大手UAEエクスチェンジとリップル社が、ブロックチェーン基盤のクロスボーダー送金サービスをアジア向けに2019年の第1四半期までに立ち上げる計画であることが明らかになった。ロイター通信が13日に報じた。新興国への国際送金額が今年過去最高を更新する、より速くて安い送金を目指してリップルやIIN、SWIFTの競争が激化している。

UEAエクスチェンジのPromoth Manghat(プロモース・マングハット)CEOは、ロイター通信のインタビューに答え、「一つか二つのアジアの銀行と提携して」、来年にリップル社とともにクロスボーダーの送金サービスを立ち上げると話した。昨年、国際送金市場は6130億ドルに膨れ上がり、アジアは主要な送金先の一つだった。

UEAエクスチェンジは、外国為替や決済サービスを手がける Finablrの傘下企業。すでに2月にリップル社との提携を発表していた。2020年までに世界の送金市場におけるシェアを10%以上増やすことを目指しているという。

これまでクロスボーダーの送金は、銀行の外国為替部門などを通して行われてきたが、近年、ウェブサイトやアプリを通した送金が増加。とりわけ1973年設立の国際銀行間金融通信協会(SWIFT)が、世界200カ国1万1000の金融機関と提携し、いわば金融システムの遺産的な存在となっているが、送金スピードが遅く、数日かかることが批判の対象となっている。

SWIFTは5日、クロスボーダーでの送金のスピードを高める新たなシステム構築に向けて動き出していると報じられた

一方、ブロックチェーン企業も勢いをつけている。

リップルは、送金完了に数秒しかかからず、「銀行はリップルを通して60~70%のコスト削減することが可能」。現在、リップルのxCurrentは100社以上の金融機関と提携。仮想通貨リップル(XRP)の利用が義務となるxRapidも10月に商業利用がスタートしたと発表された

またIIN(インターバンク・インフォメーション・ネットワーク)は、米銀大手JPモルガン・チェースが開発したブロックチェーンを基盤に動く銀行間送金ネットワーク。JPモルガンは、9月にみずほ銀行、りそな銀行、三井住友銀行などが75行が参加すると発表した。マネーロンダリング(資金洗浄)対策に必要な情報の照会手続きを早めることで、国を超えた銀行間での送金スピードをあげる狙いだ。