ブロックチェーン分析企業のサイファートレース(Ciphertrace)は、ツイッターを攻撃したハッカーが「ギブアウェイ」詐欺で取得した資金を追跡し、ピアツーピア(P2P)取引所や仮想通貨(暗号資産)ギャンブルサイトに移動していることを確認している。

7月21日、サイファートレースは、ビットコインで0.2BTCが、ハッカーが仮想通貨カジノに資金を移動させるために使用する「ピールチェーン」を介して、P2P取引所に転送されたと報告している

ピールチェーンは、複数のアドレスを移動させることで、不正に取得された仮想通貨の動きを難読化させるためのものだ。この戦術は、北朝鮮のハッカーに好まれている手法だ。サイファートレースは、北朝鮮に関連している中国人が、ピールチェーンを使用して1億ドル以上をマネーロンダリングしていると推定している

移動中の資金

7月20日、サイファートレースは、ツイッターを攻撃したハッカーが資金を様々な仮想通貨取引所やP2Pマーケットプレイス、ギャンブルプラットフォームに移動させ、いくつかのピールチェーンを確立していると報告していた。

サイファートレースは、合計で0.1BTC~0.15BTCが、インドや米国、トルコにある取引所に移動していると指摘していた。

サイファートレースは、ハッカーが様々な仮想通貨プラットフォームに対して計18のトランザクションを識別している。その中にはシンガポールの規制された取引所に送金された1BTC以上のトランザクションも含まれている。

最初の報告によると、ハッカーによる資金の送り先の多くは、コインミキシングサービスに向けたものだった。だが、ハッカーはその後に戦術を変え、ロンダリングの取り組みを仮想通貨取引所の方に向けたようだ。

また古いバイナンスのコールドウォレットにも仮想通貨が送られていたが、これは調査を混乱させるために行われたものであると、サイファートレースでは考えている。

ツイッターのハッキング事件

ツイッターへのハッキング攻撃は先週に発生した。ハッカーは、バラク・オバマ元大統領やバイデン元副大統領といった所要人物のアカウントを使用してビットコイン(BTC)をプレゼントするという詐欺ツイートを投稿し、これまでに300人を超えるユーザーから11万8000ドルをだまし取っている

ツイッターでは、内部システムとツールへのアクセス権を持つ一部の従業員を標的とした、組織的なソーシャルエンジニアリング攻撃であると「信じるにたるものを検出した」と述べている。

多くの著名人のツイッターが一連の攻撃の標的となった。政治関係では、元大統領のバラク・オバマ氏、前ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグ氏が被害にあった。また先月に米大統領選への出馬を表明した、ラッパーのカニエ・ウェスト氏も攻撃されたようだ。

経済界では、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏、著名投資家のウォーレン・バフェット氏、スペースXとテスラを率いるイーロン・マスク氏らだ。またアップルやウーバーの公式ツイッターもターゲットになったと報じられている

仮想通貨業界も主要なターゲットにされた。仮想通貨取引所バイナンスのジャオ・チャンポンCEO、トロン創業者のジャスティン・ソン氏、ライトコイン創業者のチャーリー・リー氏らのアカウントが被害にあった。また米仮想通貨取引所ジェミナイやコインベース 、コインデスク、クーコインなどの企業アカウントでも同様の被害が発生した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン