大手多国籍銀行サンタンデール銀行とスペインの銀行4行がスマートコントラクトを用いた決済のPoC(概念実証)を無事完了した。
今回のPoCは、スペインの決済システムを監督する企業IberPayとの連携で実施された。
ブロックチェーンを使った決済を実証
IberPayは、7月15日付けの声明で、今回のPoCが「ブロックチェーン技術の決済分野への適用の実現可能性」とそれを全国の決済システムにうまく接続できることを「確認した」としている。
特定の前提条件を満たせば、スマートコントラクトを使用することで支払いの実行と決済を自動化できる。
IberPayとサンタンデール銀行の他に、スペインで5番目に大きい銀行グループであるサバデル銀行、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)、バンキア、カイシャバンクの銀行4社が今回のPoCに関与した。
IberPayは、グラントソントンによるコンサルタントサービスを受けながら、7つの運用ノードを持つ銀行間のブロックチェーンネットワークを用いてPoCを試験し、2万件以上の自動即時取引を実行することに成功した。
完了した支払い1件あたりの平均処理時間は2.5秒だったと報告されており、現実世界への適用性に対する信頼を高めている。
IberPayは今回のPoCが「安全性、効率性、追跡可能性、整合性、現行規則の遵守を最大限に保証しながら」機能したと述べた。
サンタンデールのこれまでの取り組み
以前報じたように、サンタンデール銀行は金融サービスにおけるブロックチェーン技術の試験と実装の先駆者であり、昨年の冬にはイーサリアムのパブリックブロックチェーンを用いて2000万ドルの債券を償還した。
サンタンデールの担当者はこの際、「債券を(今回はパブリックの)ブロックチェーン上で、完全なライフサイクルで管理できるとはっきりと証明された」とその成果について述べていた。
またサンタンデール銀行は2019年9月にパブリックネットワークを用いて同社初となるエンド・ツー・エンドのブロックチェーン債券を発行している。このときにはサンタンデールはまずブロックチェーン上で債券をトークン化し、それを同銀行の別部門がトークン化したマネーで購入した。
サンタンデール銀行は、リップルの「xCurrent」技術を同社のリテール顧客に向けた国際決済サービスに統合しており、サービスを拡大する計画を最近発表した。これはリップル(Ripple)と共同で構築した国際決済アプリ「One Pay FX」の利用可能な地域に19の地域を追加した。従来は英国、スペイン、ポーランド、ブラジルでしか利用できかなったが、米国やチリ、ポルトガルなどに拡大した
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン