時には少ない方が良い時がある。それが、現代デザインの心情だが、それは分散型の仮想通貨コミュニティの多くの人にとって中核となる考えだ。ツイッター、仮想通貨ニュースサイト、テレグラム、ディスコードなどビットコインの世界では今、1つの会話が盛り上げっている。ビットコインの新たな供給量を50%削減する5月の半減期だ。ビットコインの生産量が落ちるということは、需要が相対的に高くなり価格が上昇する。しかし、なぜビットコインのコミュニティがこれほどまで興奮しているかを知るためには、歴史を振り返る必要がある。
ビットコインは、供給量が有限で段階的に希少性を増すコモディティだ。マイナーは、「ブロック」計算を解くことで次のビットコインを作成する権利を得る。鉱脈が開拓されるに従って段階的に金のマイナーが非効率になるのと同じように、ビットコインのマイニングも段階的に難しくなる。マイナーが解かなければならない計算が難しくなるのだ。そして、その対価が小さくなる。
偽名を使った開発者サトシ・ナカモトが2009年にビットコインネットワークを立ち上げた時、どんな古いパソコンでもマイニングが実行できて50BTCのブロック報酬を得るチャンスは大きかった。しかし、時間とともに難しくなり、2020年はビットコインマイニングの報酬は12.5BTC。そして、専門のエネルギー効率の高い機器だけが報酬を稼げるチャンスをある。
ビットコインは過去に2回、2012年と2016年に半減期を迎えた。2020年に半減期を迎える時、報酬は6.25BTCになる。
前回2016年のビットコイン半減期はビットコイン価格の高騰につながったが、2020年の半減期が同じような効果をもたらすのかみんな分かっていない。2012年11月に最初の半減期がおきた時、ビットコインは資産クラスとして今ほど知られていなかった。プログラミングや暗号技術が好きな人以外は聞いたことがなかった。
5月の半減期は違う。仮想通貨はまだ世間からの理解を得たとは言い難いが、多くのケースで認識されており、世界中の多くのジャーナリストやレポータによって報じられている。半減期のニュースは、その影響の程度は計り知れないが、新たな人々を仮想通貨とブロックチェーンの世界に誘う可能性を秘めている。
マイナーはビットコイン価格が上昇することを期待しているが、理論的な価格の上昇がマイニングコストの2倍上昇を補えるかどうかは疑わしい。とりわけ、電気代が高く、アントマイナーS9など古いマイニング機器を利用しているマイナーの損益分岐コストは、7600ドルから1万3000ドルだ。これらの高い損益分岐点によって一部のマイナーは退場しなければならないかもしれない。そして、残ったものにより多くのシェアが与えられる。
新たなマイナーは速くて効率的かもしれないが、常に投資をし続けなければならない。新しいマイニンング機器は効果で少ないため、コストはかさむだろう。少ない理由は意図的かもしれない。新型コロナウイルスが供給網を分断するという懸念があるのだ。出荷の遅れは大きな判断に影響する。一部のマイナーは一時的に閉鎖をするかもしれない。その時、マイニングにおける計算力を示すハッシュレートが低下するかもしれない。この点において、新型コロナウイルスは半減期の効果計算をややこしくしている。
ビットコインを持っていない仮想通貨コミュニティーのメンバーでさえ半減期のことを話している。ある者は分かりきったイベントであるためとっくにビットコインの価格に織り込まれていると主張している。またある者は、仮想通貨市場は若くて成熟化の過程にあるため、そもそも今後の価格を予測するという希望はほとんど持てないとあきらめる。裁定取引やポジション調整の機会はあるだろう。しかし、誤った予測をすることは大きな痛手につながるかもしれない。
次の半減期は、5月12日と推定されている。結局のところ、短期であろうと長期であろうと正確な影響力を予測することはできない。分かっているのは、2020年の半減期はビットコインコミュニティの未来を変えるかもしれないということだ。マイナーにとって(短期的に)仕事が難しくなる可能性があり、新たな投資家を誘い込む可能性がある。ビットコインにほとんど無関係であっても5月の半減期に備えるはずだ。何が起きようとも、大ごとになり、サプライズになるだろう。
本記事の見識や解釈は著者によるものであり、コインテレグラフの見解を反映するものとは限らない。