タイ最大の仮想通貨取引所ビッカブを運営するビッカブ・キャピタル・グループ・ホールディングスは、2025年のタイ証券取引所(SET)上場に向け、財務アドバイザーの選定を加速させている。4月1日、ジラユット・シリソパーCEOがブルームバーグに語った。
上場により、ビッカブは新規資本調達と企業価値向上を目指す。2022年と2023年に人員削減を実施したにもかかわらず、現在積極的に採用活動を行っており、2025年までに1000人を追加採用し、2000人から従業員数を倍増する計画だ。
ビッカブは2023年の株主向けレターで初めてIPO計画を発表していたが、詳細については明らかにしていなかった。
ハッシュキーのデータによると、ビッカブはバンコクに拠点を置き、2023年12月時点でタイの仮想通貨取引市場シェアの77%を占める最大手取引所であり、日々の取引量は約3000万米ドルに達する。
競合としては、2021年に設立されたUpbit、Bitazza、Zipmexなどが存在するが、Zipmexは2023年11月に規制当局の取り締まりを受け、取引停止に追い込まれている。

近年、タイは仮想通貨市場における主要なプレーヤーとして台頭し、2023年時点で1300万人を超える仮想通貨ユーザーがいると推定されており、これは総人口の約18%に相当する。2028年にはこの数字が1770万人に達すると予測されている。
仮想通貨の普及に伴い、ビッカブの市場シェアを奪おうとする動きも活発化している。世界の主要取引所であるバイナンスは2024年1月に現地法人を設立し、2024年中に事業開始を予定している。また、タイの大手銀行であるカシコン銀行は2023年10月に仮想通貨取引所Satangの株式の過半数を取得した。
ビッカブは2023年7月に、傘下の仮想通貨取引所ビッカブ・オンラインの9.2%の株式をテクノロジー持株会社アスフィア・イノベーションズ(Asphere Innovations)に6億バーツ(約24億8500万円)で売却している。
ジラユットCEOによると、ビッカブはビッカブ・オンラインの評価額が、2021年の仮想通貨強気相場以来見られなかったレベルの取引量に近づくにつれて上昇すると予想している。ビッカブ・オンラインはビッカブ・キャピタルの収益の約80%を占めている。