ステーブルコイン発行企業のテザーは、ライバルであるサークルが火曜日にトロン・ブロックチェーン上でのステーブルコインの発行を停止した後、トロンへのサポートを終了するかどうかについて明確な回答を示さなかった。
コインテレグラフの問い合わせに対し、テザーは「テザートークンは複数のブロックチェーンで発行されており、それらは単にトークンのトランスポート層だ」と述べ、「テザーはコンプライアンス義務を遂行するために、直接サポートする各トランスポート層での取引を凍結する能力を保持している。それにもかかわらず、コミュニティに最高の水準を保証するために、サポートされている各トランスポート層の安全性を積極的に監視している」と語った。
コインゲッコーのデータによると、テザー(USDT)は時価総額が977億ドルで最大のステーブルコインであり、サークルのUSDコイン(USDC)は280億ドルでそれに続いている。
テザーの2月21日付けの透明性レポートによると、複数のブロックチェーンに発行された約1010億USDTトークンのうち、トロンは518億USDTを保有している。さらに、トロンネットワーク上のトークンに対する短期流動性を提供するために、約7620万ドルが確保されている。

テザーのコメントは、サークルによる2月20日の発表に対する反応であり、同社はトロン上でのUSDCの発行を直ちに終了し、ネットワークへのサポートを段階的に停止すると発表した。「USDCが信頼され、透明で、安全であることを確保する努力」に沿ったものだとした。
先月、国連の報告書は「トロンブロックチェーン上のUSDTが、取引の容易さ、匿名性、低い手数料のため、東南アジアでサイバー犯罪やマネーロンダリングに好まれる選択肢となっている」と指摘したが、テザーはこの報告書を否定し、USDTの追跡可能性と法執行機関との協力を無視していると反論した。
テザーは、「過去数ヶ月以内に犯罪で使用されたUSDTを3億ドル以上凍結した」と強調し、その中には2023年11月に東南アジアの人身売買シンジケートに関する米国の捜査の一環として凍結された2億2500万ドルが含まれているという。
米NPOのキャンペーン・フォー・アカウンタビリティは11月、トロンが「組織犯罪グループや制裁対象の組織による数十億ドルの取引に関与しており、複数の国際的な法執行行動で名指しされている」として、米議会に行動を求める書簡を送った。米証券取引委員会(SEC)は2023年3月、トロン財団と創設者のジャスティン・サン氏を、未登録の有価証券の提供と操作的取引を行ったとして訴えたが、サン氏はこれを否定している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン