非営利の倫理団体キャンペーン・フォー・アカウンタビリティ(CfA)は、11月9日にエリザベス・ウォーレン上院議員とシェロッド・ブラウン上院議員に書簡を送り、仮想通貨がマネーロンダリングに利用されている懸念を共有した。特に、トロン・ブロックチェーンとステーブルコイン発行企業サークルの関係について議論している。
CfAのエグゼクティブディレクターのミシェル・クッパースミス氏が署名した書簡では、USDコイン(USDC)の発行者であるサークルが、ジャスティン・サン氏が率いるトロン財団や、ゴールドマン・サックス、ニューヨーク・メロン銀行(BNYメロン)、ブラックロックなどの大手ウォール街の金融機関と広範にわたる関係を持っていると指摘している。
クッパースミス氏は、規制の欠如やトロン(TRX)のテロ資金供給との疑惑を考えるとサークルのウォール街との関連性は「驚くべきことだ」と批判した。トロンは、未登録の証券販売で米証券取引委員会(SEC)から調査を受けている。さらにパレスチナのイスラム聖戦、ハマス、ヒズボラの資金供給に関与しているとの疑惑が浮上している。そして、トロンのエコシステムには4億ドル相当のUSDCが存在しており、CfAはサークルとトロンンの関係を問題視している。
「最近発表された研究や法執行機関の報告によれば、主要なウォール街大手投資企業に支持された米国の仮想通貨企業(サークル)が、アジアを拠点とする取引プラットフォームと仮想通貨ネットワークとの統合により直接的または間接的に侵害されている可能性がある」とCfAは懸念を示す。そのネットワークであるトロンは「組織犯罪グループや制裁対象者による数十億ドル規模の取引を巡る多数の国際法執行活動で名前が挙がっている」。
CfAのクッパースミス氏は、10月にウォーレン氏ら100人近い議員が提出した書簡での懸念と共鳴するものだと述べている。このウォーレン議員らの書簡では、ハマスによる攻撃を受け、仮想通貨が「国家安全保障上の脅威になる」との懸念を示し、バイデン政権に対応を求めていた。
またCfAの書簡では、サークルを巡る明らかな規制の欠如と、「規制されていないクロスチェーンプロトコル」の運用について疑問を呈している。
「ゴールドマン、BNY、ブラックロックはすべて、連邦および州の銀行および証券当局に登録され、規制を受けているが、サークルは設立以来10年間、主要なプルーデンシャル規制を避けたか、または受けていない。これは、キャンペーン・フォー・アカウンタビリティが2022年5月にSECに指摘した懸念だ」と述べている。
11月10日には、CfAは財務省金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)の10月の提案にコメントを提出し、仮想通貨ミキサーをマネーロンダリングの中心地と指定するべきだと主張した。提案は「価値があるが、犯罪グループが仮想通貨を使用する新たな方法を規制の範囲に含めなければ、すぐに時代遅れになる可能性がある」とCfAは述べている。
コメントでは、CfAはクロスチェーンプロトコルとサン氏のSunSwap分散型取引プロトコルについて議論し、ブロックチェーンフォレンジック会社エリプティックが「テロ組織が必要なデジタル通貨を取得する媒体」と特定した。CfAはまた、「サン氏は中国共産党と直接のつながりがあると報告されている」と付け加えている。これは、サン氏が中国共産党中央党校での研究プロジェクトに参加したという報告を引用している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン