米ドルに連動する世界最大の仮想通貨の運営者であるテザーは、同社がステーブルコインのUSDTを裏付けるために大量の米国債を保有していることもあり、米国政府との関係に自信を持っている。

USDTの10周年が近づく中、コインテレグラフはテザーのパオロ・アルドイノCEOにインタビューを行った。テザーが業界で最も重要かつ収益性の高いプレーヤーの1つとなるために何を重視してきのかを聞いた。

アルドイノ氏はインタビューでステーブルコイン市場での競争を奨励し、テザーが発展途上国に注力している点を強調し、同社が米国の良き友人としての地位を築いていると語った。

10周年を迎えるUSDT

USDTは2014年10月6日に、ビットコイン財団のディレクターであるブロック・ピアース氏、ソフトウェアエンジニアのクレイグ・セラーズ氏、起業家のリーヴ・コリンズ氏によって、「リアルコイン」という名前で開始された。

テザーのアイデアは、米ドルに1:1で連動する安定したデジタル通貨を作り、変動の激しい仮想通貨市場での交換手段を提供することだった。ローンチから3年後、USDTの時価総額は初めて10億ドルに達し、その時価総額は急速に上昇している。

2020年7月には、USDTは100億ドルの市場規模を突破し、約3年間で900%の成長を遂げた。2024年3月には、USDTは1000億ドルの時価総額のマイルストーンを達成し、USDコイン(USDC)などの競合を大きく引き離した。

Dollar, United States, Tether, Stablecoin

USDTと競合コインの時価総額の比較 Source: CoinGecko

現在、USDTの時価総額は1200億ドルに達し、2023年にはブラックロックを超える利益を上げる主要な業界プレーヤーとなっている。

アルドイノ氏は、USDTがこれほど急速に成長した理由の1つとして、USDTのモデルが一般の人々にとってシンプルで理解しやすかったことを挙げた。

「私たちにドルを送れば、同額のUSDTを渡す。USDTトークンを返送すれば、ドルを返還する。そして、私たちは準備金を米国債や他の安全な資産に投資する。とてもシンプルだ」とアルドイノ氏は説明した。

アルゴリズムによるステーブルコインのような挑戦的なプロジェクトについて、アルドイノ氏は、業界がしばしば物事を非常に複雑にする傾向があると指摘した。「長期的に機能するのはシンプルなものだけだ。私たちは他の誰よりもこれを実践しただけだ」と付け加えた。

テザーがうまくやったことと失敗したこと

アルドイノ氏はシンプルさ以外にも、テザーが競争に勝った要因として2つの重要な点を挙げた。

1つは、テザーが過去10年間、ステーブルコインに専念し、2017年のイニシャル・コイン・オファリング(ICO)ブームや2021年の非代替性トークン(NFT)の台頭などのトレンドに気を取られなかったことだ。

「テザーが非常にうまくやったのは、ステーブルコインを発明し、ステーブルコインの最も重要なユースケースに集中していたことだ」とアルドイノ氏は語った。

テザーは、分散型金融におけるUSDTの利用を推進したことはなく、代替決済システムを最も必要としている人々を助けることに注力してきたとアルドイノ氏はのべた。

アルドイノ氏は、テザーの2つ目の優れた成果として、誰がUSDTを最も必要としているかをよく理解していることを挙げた。

アルドイノ氏によれば、ステーブルコインの最大の需要は、欧州や米国のような先進国ではなく、アルゼンチン、トルコ、ベトナムのような発展途上国から来ている。これらの国々は常にドルへのアクセスを必要としている。

「私たちが誰よりも早く気づいたのは、人々がドルを現金ではなくデジタル形式で持ちたいということだ。デジタル形式の方がはるかに便利だからだ」とCEOは語った。「米国や欧州で競争する意味はない。私たちの焦点は、最も必要とされている場所にあるべきだ」

しかし、テザーがもっと良くできたことがあるとすれば、それはUSDTが最大のステーブルコインの1つとして成長する過程での批判への対応方法だ。

「私たちは、自分たちを説明し、私たちが行っているすべてのことに透明性を持たせることにもっと力を入れるべきだった」とアルドイノ氏は語り、2017年から2021年の期間を振り返った。

2021年以降、テザーは批判に積極的に対応しており、1つ1つに対処し、非難が事実に基づいていないことを証明し始めた。

アルドイノ氏は、競争がなければステーブルコイン業界は存在しないため、テザーはステーブルコイン市場での競争を奨励していると強調した。うまく機能するステーブルコインが常に少なくとも3つから6つ存在するべきだとと付け加えた。

テザーの米国政府との関係について

発展途上国に焦点を当てる一方で、テザーは米国との関係も無視していない。

アルドイノ氏によれば、テザーは「非常に良好な関係」を米国政府と築いており、当局に対するコンプライアンス努力により、競合他社よりも「はるかに良好」であるという。

「テザーは、米連邦捜査局とシークレットサービスが導入した唯一のステーブルコインだ」とテザーのCEOは語り、45カ国の180の法執行機関がUSDTを持っていることも言及した。テザーはまた、約980億ドルの米国債を保有しているため、世界でも有数の米国債保有者の1つとして、米国の良き友人としての地位を確立しているという。

Dollar, United States, Tether, Stablecoin

2024年4月時点の米国債の主要保有者 Source: Statista

「テザーは米国政府の最良の友人だと思う。なぜならドイツよりも多くの米国債を保有しており、世界のどの競合他社や金融機関よりもはるかに多く保有しているからだ」とアルドイノ氏は語った。「、米国債の所有権を分散化、米国をより強靭にしていることに喜びを感じている」と付け加えた。

PR記事「仮想通貨取引所ビットゲット(Bitget) が新規口座開設キャンペーンを開催!最大で8200円相当のXRPを獲得可能」