ステーブルコイン「テザー(USDT)」を発行するテザー社は、ドイツに拠点を置くビットコイン(BTC)マイニング企業ノーザンデータに対して借入融資枠を提供することで、ビットコインマイニングへの投資を強化している。
ノーザンデータは11月2日、テザーから5億7500万ユーロ(約919億円)の借入枠を確保し、事業全体におけるさらなる投資を推進すると発表した。
この借入融資枠は特に、ノーザンデータが手掛ける人工知能(AI)クラウドサービスプロバイダーのタイガ・クラウド、データセンター事業のアーデント・データ・センターズ、マイニング事業であるピーク・マイニングへの投資を進める。これらの投資は、追加のハードウェアの取得と、液体冷却マイニング技術を用いたビットコインマイニング事業の拡大にあるという。
発表によれば、この借入枠は無担保で、標準的な市場条件を満たし、2030年1月1日までの期間が設けられている。
テザー社のCTO兼CEOであるパオロ・アルドイノ氏によると、この融資枠は2024年中に引き出される予定だという。「これは会社の利益でまかなわれ、テザー社のステーブルコイン準備金の一部ではなく、実際には適切な分離を行うためにテザー・グループの下で別の投資ビークルを介して行われる」とアルドイノ氏は強調した。
アルドイノ氏によれば、テザー社は、米短期国債の高金利により、純営業利益で四半期平均10億ドルを達成しているという。「これらの利益の大部分は、当社の準備金の中に慎重に留保され、超過準備金の発生に貢献してきた。この戦略により、私たちのステーブルコインを104%も過剰に担保することができた」と述べる。
今回の融資枠提供は、テザーがノーザンデータの株式を取得したことを受けたものだ。2023年9月、テザーは、AIイニシアチブを支援するために、ノーザンデータの株式を取得した。テザーは、この投資は自社の準備金とは別であり、顧客の資金に影響を与えないとしている。
テザーは2023年にビットコインマイニングオペレーションに積極的に進出し、自社のマイニング事業を開始し、独自のマイニングソフトウェアを導入した。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン