アルゼンチンの人々は現在、ラテンアメリカ最大の果物と野菜の流通市場であるブエノスアイレス中央市場でステーブルコインのテザー(USDT)を使って酪農製品を購入することができる。この動きは、ステーブルコイン発行者であるTetherとオンラムプ・プラットフォームのクリプトンマーケットとの提携によって可能になった。

この提携により、企業がUSDT(USDT)で請求や支払いを受け付け、また一部の従業員の給与をステーブルコインで支払うことができるようになる。ブエノスアイレス中央市場によると、中央市場は月に1200万人以上に物資を供給し、500社以上の卸売企業が所在し、2000人以上を雇用している。

またこの提携は仲介費用を削減し、米ドルと連動した支払いオプションを提供し、市場変動に対する影響を減らすと、テザーは声明の中で述べている。

ハイパーインフレとアルゼンチンの法定通貨ペソの価値下落を受け、アルゼンチンでは仮想通貨の採用が急速に進んでいる。今年4月のインフレ率は、ラテンアメリカの国で前年同月比108.8%に上昇し、3月の104.3%上昇に続き、1991年以来の最高水準となっている。5月15日には、アルゼンチンの中央銀行が基準金利を97%に引き上げたが、厳しい金融政策は物価上昇を抑制するには力不足のようにもみえる。

Argentina’s 1-year inflation rate. Source: Trading Economics, Instituto Nacional de Estadística Y Censos

テザーの最高技術責任者パオロ・アルドイノ氏は、「自国通貨の価値切り下げが続く中、アルゼンチンの人々は自身の経済的自由を追求する解決策を必要としている。ブロックチェーンが提供する最先端技術を通じて、国全体の幸福に貢献することができれば、金融差別に対する闘争を終わらせるために一歩近づくことになる」と述べた。

最近のコインテレグラフとのインタビューで、IOVラボのダニエル・フォッグ氏は、マクロ経済の衝撃からの安全な避難所として仮想通貨を求める人々が増えているため、新興市場が仮想通貨の採用をリードしていると述べた。「私の見るところ、私が希望する仮想通貨の未来を見たければ、それは現在、トルコ、コロンビア、ナイジェリア、アルゼンチンに存在している。それは米国やイギリスには存在していない」と彼は指摘した。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン