シンガポールの政府系投資会社テマセク・ホールディングスは、破産した仮想通貨取引所FTXへの投資を担当した幹部の報酬を減額した。フォーブスによると、テマセクはかつてFTXの第二位の外部投資家であり、700万株を保有していた。しかしFTXが倒産したことで、テマセクは投資の責任を問われることになった。

5月29日のテマセクの発表によると、テマセクは2022年11月にFTXが倒産した直後に開始した内部調査を終了した。テマセクは2億7500万ドル(約385億円)の投資損失を出したが、調査結果では内部に「不正行為はなかった」という。だが投資チームと経営陣は「集団的責任」を取り、報酬が減額されたと報告されている。

倒産時に2億7500万ドルの投資損失となったが、これは当時テマセクの総資産2930億ドルの0.09%に相当する。テマセクは、FTXへの投資前に徹底したデューデリジェンスを実施したと主張している。

5月29日のブルームバーグの報道によれば、テマセクのリム・ブーン・ヘン会長は、「テマセクを含む投資家に対して、意図的に隠された詐欺行為があった」と述べ、「当社に大きな影響を与えている」と語った。「投資の結果に失望し、評判への悪影響についても同様だ」とリム会長は語った。

シンガポールの副首相ローレンス・ウォン氏も、2022年11月の議会でFTXが倒産した直後に同様の発言をしていた。「FTXとの関係で、テマセクには財政的損失だけでなく、評判への損害も発生している」とウォン氏は語った。

テマセクは、デューデリジェンスを実施した際に、FTXの財務諸表を検討し、仮想通貨市場の金融サービスプロバイダーとの規制上のリスクを評価し、2021年2月から10月にかけて9ヶ月間法的助言を求めたと述べている。また、FTXの従業員、他の投資家、業界関係者を含む、FTXに関する直接的な知識を持つ人々とも協力したとされる。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン