スイスの金融機関を監督する「スイス連邦金融市場監督機構(FINMA)」は2月7日、マネーロンダリング防止(AML)条例に基づき、仮想通貨取引所の顧客による取引の報告義務が発生する金額を、5000CHF(スイス・フラン。約56万1000円)から1000CHF(約11万2000円)に引き下げる提案を発表した。
今回の規定は、2020年1月1日施行の同国の新たな金融サービス法(FinSA)および金融機関法(FinIA)に伴うもの。2法案に対応する改正条例として、金融サービス条例(FinSO)、金融機関条例(FinIO)および監督機関条例(SOO)を導入し、4月9日までにこれら規制に関する公開協議を開催する予定という。
新たな規定の主な変更点のひとつは、2019年6月21日発表のFATF(マネーロンダリングに関する金融活動作業部会)ガイダンスに対応する同国内規制の強化だ。FATFは、1000ドル(あるいは1000ユーロ。約11万円)超の仮想通貨取引の場合、仮想通貨交換所などの仮想通貨サービスプロバイダー(VASP)に対して顧客確認(KYC)を要求している。またこれら情報は、当局に定期的に提出する必要がある。
スイスの取り組みは、より厳格なAMLを推進するという世界的なトレンドの一例だ。プレスリリースにおいてFINMAは、FATFガイドラインに対応する形で、仮想通貨取引における「マネーロンダリングのリスクの高まりを認めている」と述べている。
欧州連合(EU)では、第5次マネーロンダリグ指令(5AMLD)が1月10日に発効。取引所や仮想通貨カストディアン、ウォレット事業者なども、その規制対象に含めている。仮想通貨アドレスと所有者本人の情報を紐づける必要があり、情報を必要に応じて金融当局に提供しなければいけない。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン