ここ最近のビットコイン(BTC)価格の急騰により、マイナーによる電力消費量が大きく増えていることから、成長を続ける仮想通貨の環境への影響についてコミュニティ内で新たな論争が巻き起こっている。

Digiconomistの「ビットコイン電力消費量指標(Bitcoin Energy Consumption Index)」によると、ビットコインによる電力消費量は2020年後半から歴史的な最高水準を記録しており、年間の消費水準は記録的な長期間にわたって75TWhを超える状態が続いていると推定される。

ビットコインは現在、年間77.8TWh近くを消費していると考えられており、チリの電力消費量と同じくらいだ。ビットコインのカーボンフットプリント(ビットコインのマイニング活動によって発生する温室効果ガスの総量)はCO2にして37メガトン近くに達すると言われており、これはニュージーランドに匹敵する。

Source: Digiconomist’s Bitcoin Energy Consumption Index

ビットコインの電力消費量が11月以来「通常」の状態を超え続けていることから、仮想通貨コミュニティではカーボンフットプリントに関する懸念をめぐって今も意見が割れている。

カルダノの設立者であり、イーサリアムの共同設立者でもあるチャールズ・ホスキンソン氏は、ビットコインは「測り知れないほどの量の電力」を消費していると考えている。「問題は、設計上これが改善しえないことだ」とホスキンソン氏は金曜、CNBCの取材に対してこう語り、ビットコインのプルーフ・オブ・ワーク方式のコンセンサスは時間が経つほどに電力消費量を増大させる一方であることを強調した。

「ビットコインが成功を収めるほど、価格は上がる。価格が上がるほどビットコインの採掘競争は加速する。だから採掘に費やされる電力も増える」

ホスキンソン氏は、ポルカドットやアルゴランドといった他のブロックチェーンと並び、カルダノのネットワークもプルーフ・オブ・ステーク(PoS)方式のコンセンサスメカニズムに依拠することから、電力を6GWhしか消費しないと述べた。

仮想通貨コミュニティの一部のメンバーは、ビットコインの独自の特徴はその電力消費に見合うだけの価値があると考えている。CoinSharesのチーフストラテジスト、メルテム・デミローズ氏は、ビットコインでの電力消費はよいエネルギーの使い方だと示唆した。

「ここでは何がよいエネルギーの使い方なのかを人々が判断しようとしているわけで、その意味ではビットコインはエネルギーの使途に関して非常に透明性が高い。他の業界ではもっと見えにくい」

デミローズ氏はまた、電力の利用そのものが悪いわけではないとも付け加えた。「メールの送信や保存にも電力を使用する。だが電力を消費するからと言ってメールが悪だと考えることはない」。

ビットコインの電力消費量は増え続けているとはいえ、使われない家電製品によって米国で浪費されている電力量よりは少ない。そう述べるのはケンブリッジ大学オルタナティブ・ファイナンス・センターの研究員マイケル・ロークス氏だ。電子レンジなど、電源が入ったまま使われていない家電製品によって米国で浪費されている電力は、ビットコインのネットワークを2年間稼働させるだけの量に匹敵するとロークス氏は述べている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン