食品産業は、ブロックチェーン技術とIoT(モノのインターネット)とによるサプライチェーンの追跡を実現することで、「食品偽装(フード・フラウド)」に関するコストを2024年までに約310億ドル(約4兆4000億円)削減できるという。英調査会社ジュニパーリサーチ(Juniper Research)が、11月25日に調査レポートを発表した。

現在食品産業では、食中毒などの事故を防ぐ「食品安全(フード・セーフティー)」、テロなど悪意を持つ者の攻撃から消費者・生産者・企業を守る「食品防御(フード・ディフェンス)」、経済的利益を目的に意図的に消費者をあざむく食品偽装への対応が急がれている。

ジュニパーリサーチは、このうち食品偽装について、ブロックチェーンとIoTがサプライチェーン合理化と法規制遵守における簡素化をもたらし、コストを大幅に低減できるとの調査を明らかにした。農家などの生産者から小売業者・消費者までの手順・追跡をブロックチェーンのスマートコントラクトで自動化し置き換えることで、コストやリスクの削減に加えて、サプライチェーンの透明化をもたらすという。

レポート著者のモルガン・キミッチ博士は、次のように指摘した。

「今日の食品サプライチェーンは不明瞭なデータにより透明性と効率性を損なっており、各企業は仲介業者と紙ベースの記録に頼らざるを得ない。ブロックチェーンとIoTは、食品サプライチェーンの全関係者が資産を追跡できる改ざん不可能な共有基盤を提供する。時間やコストを節約し、偽装を減らす」

ジュニパーリサーチによると、2021年から食品偽装に関するコストを大幅に削減でき、法規制遵守に関するコストは2024年までに30%低減できるそうだ。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン