セキュリティトークンのプラットフォームを手掛ける米セキュリタイズのカルロス・ドミンゴCEOは、日本進出に意欲を見せた。同社は、野村ホールディングスや三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井不動産などが出資している。
ドミンゴCEOは3日、N. Avenueが主催するブロックチェーンカンファレンス「b.tokyo」のパネルディスカッションに登壇し、セキュリティトークンについて議論した。
セキュリティトークンは証券や不動産といったアセットをブロックチェーン上でデジタル化する技術だ。流動性の向上やコスト削減、新しい投資家開拓につながると期待されている。日本では来年4月から、セキュリティトークンに対応した金融商品取引法がスタートする予定だ。
ドミンゴCEOは「間もなく東京での事業を立ち上げようと考えている」ことを明らかにした。
モデレーターの河合健弁護士が「日本でプラットフォームをローンチするのか?」と質問すると、ドミンゴ氏は「(日本国内の)パートナーと緊密な関係を作り、日本でのプラットフォームを検討したい」と答えた。
「20年日本にいたから、日本に来るときはいつもワクワクしている。幸運にも日本でベストパートナーに恵まれた。三井不動産やグローバルブレイン、MUFG、それに野村ともパートナーを組めた」
「日本は経済大国であり、デジタル技術に親和的だ。証券のデジタル化にも惹きつけられるはずだ。規制を順守した上で、パートナーと緊密に関係を作り、日本でのプラットフォームを検討したい」
セキュリタイズは今年9月、1400万ドルの資金調達を完了。日本からは野村HDやMUFGなどのベンチャーキャピタルが参加した。
ドミンゴ氏は、ブロックチェーンによる証券のデジタル化は、複雑な仲介者を取り払うことでコスト削減につながり、「利回りを上げる効果がある」と強調する。低金利が続く日本において、魅力的な投資対象になるという考えだ。
パネルディスカッションに登壇した、三井不動産ベンチャー共創事業部の能登谷寛氏は、セキュリタイズとのパートナーシップについて「スマートコントラクトで何がどこまでコスト削減できるのか。実際にトライしていかないといけない」と語った。
不動産をセキュリティトークン化にするにしても、不動産会社や信託銀行、証券会社といった複数のパートナーが必要だと指摘。STOのノウハウを持つセキュリタイズとコラボすることで、「リアリティを持って今後の展開を考えるられるようになった」と話した。
また三菱UFJ信託銀行の齊藤達哉氏は、「MUFGの大きなテーマとして、自前主義から脱却しようとしている。(セキュリタイズのような)テクノロジーのプロと組み合わせの妙を活かしていく考えだ」と語った。