かつてドナルド・トランプ米大統領の補佐役だったスティーブ・バノン前首席戦略官が、6日にスイスで開催されたディ・ヴェルトボッヘ誌主催のイベントで、「仮想通貨はヨーロッパの反エスタブリッシュメント(支配階級)運動を支える重要な資産となりうる」と述べた。

 バノン氏は「仮想通貨とブロックチェーンが、ポピュリスト運動、企業や政府に力を与えるだろう。そして、通貨の価値を下げ奴隷同然の低賃金を生み出す中央銀行から解放する」と主張。仮想通貨とブロックチェーンは、正しいナショナリズムをもたらす可能性があり、「新たな農奴」を生み出してきたエスタブリッシュメント勢力に対抗するための手段になるとの考えを示した。

 また、政府、中央銀行、テクノロジー企業を、一般の人々から権利とアイデンティティを奪い、自分たちの目的のために利用していると非難した上で、「人々が自らの通貨、データ、そして市民権を手中に収める時、それは真の自由を手にするときだ」と強調した。

 バノン氏はトランプ政権で働く以前、ブライトバート・ニュースで会長を務めていた。同ニュースは当時、あからさまな反エスタブリッシュメントを主張し極右報道を行う米国のオルタナ右翼サイトとして知られていた。そして17年8月にホワイトハウスから解任されるまで、トランプ大統領に助言を行う上級顧問を務め、国家安全保障会議のメンバーでもあった。