価格が安定した仮想通貨とされる、ステーブルコインに関する新たなプロジェクトが立ち上がり、ピーター・ティール氏、コインベース、ディストリビューテッド・グローバル、GSR.IOなど40の組織や団体から支持を取り付けた。コインテレグラフが20 日に入手したプレスリリースの記載による。
このステーブルコインプロジェクトはまだ開発の段階にあるが、「リザーブ」という名が付いている。完全分散型の仮想通貨を開発することを目指し、総額500万ドルのシードラウンドを終えたところだ。この仮想通貨は「他の仮想資産をスマートコントラクトでロックアップ、つまり売却できないようにすることで、リザーブトークンの裏付けとし、価格を安定させる」仕組みとなっている。
リザーブの共同創設者であるネヴィン・フリーマン氏によると、今回のシードファンディングは意図的に規模を「小さく」抑えてある。このラウンドでは、資本を集めるというよりはパートナーシップの構築に重きを置いたからだ。
コインテレグラフの質問に対しフリーマン氏は、リザーブプロトコルが他のステーブルコインプロジェクトとどこが違うのか、明確にする上で次のように述べた。
「リザーブが採っている手法で重要なのは、当社のエコシステム外に由来する仮想資産をペッグとして使い、価格の安定を図っている点だ。特に最初期においてこれを行っていく。しかし仮想資産をスマートコントラクトでロックアップしてペッグにする時に、ひとつのステーブルコインのみを使って全てのスマートコントラクトを結んでしまうと、そのステーブルコインの信用が失われた時に悪循環が起き最悪の事態となる。当社ではそれが決して起きないように、できる限りの努力を重ねた」
リザーブでは、価格が安定した仮想通貨は、法定通貨の価値下落と高インフレーション率により国民の預貯金が危機にさらされているような国にとっては、ひとつの解決策になると考えている。
価格の安定が保証されていない既存の仮想通貨を使っても、分散型という特徴により政府から国民を守ることはできるのだが、価格変動が激しいので小売りのレベルで使うのはかなりの困難を伴う。フリーマン氏はこのあたりの事情を次のように述べている。
「簡単に言うと、来月になったら価値が2倍になっているかもしれないトークンを使って、紙パック入りミルクを買いたい人はいないということだ。また、1年後には価値がゼロになっているかもしれないトークン建てで、預貯金をしたい人もいない」
リザーブプロジェクトが、ある金融サービスコンサルタント会社と顧問契約を結んでいる点が目を引く点だ。このコンサルタント会社は米証券取引委員会の元委員長が代表を務めており、商品先物取引委員会、連邦準備制度理事会(FRB)、通貨監督庁、財務省など米国の各種機関の元当局者が名を連ねる。
今月はじめ、ダブリンのMoneyConfで、サークルのジェレミー・アレールCEOが「トークンの上に成り立つ世界経済」でステーブルコインが果たす役割の重要性について力説した。例えば、債務返済では必要不可欠な存在となることが考えられるという。そうした用途では、価格変動の影響を受けにくい通貨建てでの支払いが求められるからだ。
サークルは今年5月、1億1000万ドルの資金調達ラウンドを終えた。これは、マイニング用ハードウェアメーカーのビットメインと提携し、米ドルに裏付けされた同社独自のステーブルコインを開発することを目的とした動きだ。報道によると、このステーブルコインのリリースは今夏になる。