仮想通貨XRPの現物型上場投資信託(ETF)を提供しようと検討する動きがあるものの、規制当局の承認は「当面見込めない」とアナリストたちは指摘している。
アナリストは、米証券取引委員会(SEC)とリップル社の間で進行中の訴訟があること、承認されたXRP先物ETFが存在しないことが、現物型XRP ETFの承認可能性を大きく損なうだろうとコインテレグラフに語る。
コインシェアーズのプロダクト責任者タウンゼント・ランシング氏は、SECがXRPを証券でないと強制されるか同意するまで、XRP ETFは実現不可能だと説明した。7月、SEC対リップル社の訴訟での判決では、XRPトークン自体は証券ではないが、機関投資家への販売時には証券にあたるとされた。両者の法廷での争いは続いており、裁判は4月23日に予定されている。
ヴァン・ビューレン・キャピタルのジェネラルパートナー、スコット・ジョンソン氏は、承認可能性を「非常に低い」と見ており、SECの新たなリーダーシップが必要だろうとも語った。他にも、コインシェアーズのリサーチアナリスト、マックス・シャノン氏は、現物型ビットコインETFの承認に10年以上かかったことを指摘した。
今月初めには、ブルームバーグのETFアナリスト、ジェームス・セイファート氏も、XRP ETFの即時承認については厳しい見通しを示している。1月11日のインタビューで、セイファート氏は「可能性は低い」と言い、SECのリップル社に対する訴訟が続いていることを踏まえ、今年中には起こり得ないとコメントした。
さらにセイファート氏は、ビットコインやイーサリアムとは異なり、現在アメリカで承認されたXRP先物ETFは存在しないとも指摘した。この点について、ジョンソン氏は、たとえシカゴマーカンタイル取引所(CME)などの取引所が明日にでもXRP先物を上場したとしても、SECはXRPの先物と現物市場の間に何年もの高い相関関係を要求し、現物型ビットコインETFの場合のように、現物市場での詐欺や操作を検出するための「十分な監視共有合意」があることを確認することを求めるだろうと論じている。
XRP投資家はなおも希望を持つ
しかし、アナリストたちの悲観論にもかかわらず、XRPの熱心なファンの中には、最近の数週間で希望を持つ者もいる。
1月、リップルのブラッド・ガーリングハウスCEOは、世界経済フォーラムでのインタビュー中に、XRP ETFの可能性について問われると、楽しげに回答を避ける態度を見せた。数日前には、ブラックロックのラリー・フィンクCEOが、フォックスビジネスのチャールズ・ガスパリーノ氏の同様の質問を笑顔で退けたことが、一部で注目された。
BOOOOOOOOOOOOOOOOOOM!!!!
— JackTheRippler ©️ (@RippleXrpie) January 16, 2024
Brad Garlinghouse, the CEO of @Ripple is basically telling you that an #XRP ETF is on the way! pic.twitter.com/bKgLo0qCfR
しかしながら、ガスパリーノ氏がブラックロックは現物XRP ETFの計画がないと報じた後、希望は打ち砕かれた。同氏は「直接の情報に詳しい人々」を情報源としている。
一方で、フランクリン・テンプルトンのデジタル資産責任者サンディ・コール氏は1月11日のインタビューで、顧客に仮想通貨への投資機会をより多く提供する意向を示し、「我々からのさらなる申請がいずれあるだろう」と述べ、他の仮想通貨ETF申請への期待も高めた。
XRPファンドが実現するかどうかはともかく、業界は現物型イーサリアムETFの承認可能性に注目しており、ブルームバーグのETFアナリスト、エリック・バルチュナス氏は、5月に承認確率を70%と予測している。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン