シリンラボ(Sirin Labs)は29日、開発したブロックチェーンスマートフォン「Finney(フィニー)」の日本での発売を開始すると発表した。29日に東京で開いた記者発表会で、シリンラボ創業者のモシェ・ホゲグCEOは「日本は重要な市場の1つ」と述べ、日本国内で19年に2万台の販売を目指すと語った。

日本では2万台、世界では10万台が目標

シリンは2017年に行ったICOで1億5800万ドル(約172億円)の資金を調達。ブロックチェーンスマホのハードとOSの開発を行っていた。昨年11月末から海外では販売を開始していた

今回発売するフィニーの価格は999ドル(約10万9000円)。30日からプレオーダー分の出荷を開始する。当面の販売は公式ウェブサイトを通じてのみだが、今年4~6月には日本で一時的なリアル店舗を開設する予定だ。将来的には恒久的な店舗を展開したいとしている(現在はロンドンにのみ店舗を開設)。

ホゲグCEOは、日本での販売目標について19年で2万台を目指すと語る。グローバルでは既に1万6000台のプレオーダーがある。ホゲグCEOはグローバルな販売目標について「まず最初の目標として10万台を販売できれば、成功といえるだろう」と話す。

シリンラボ創業者のホゲグCEO

コールドストレージウォレットを内蔵

シリンラボのフィニーは、アンドロイドOSをベースに独自開発した「SIRIN OS」を採用している。普通のアンドロイドスマホとの大きな違いは、スマートフォンの中にコールドストレージウォレットが内蔵されている点だ。

スマホの上部になる「セーフスクリーン」をスライドさせることで、内臓したウォレットを起動できる。内蔵しているコールドウォレットは、起動させた時以外はオフラインとなる仕組み。ホゲグ氏は「スマホ本体をハッキングされても、コールドウォレットは別なOSで動いており、ハッキングすることは困難だ」と話す。

フィニー本体(写真左)の上部に「セーフスクリーン」をスライドさせると、内臓したウォレットが起動(写真右)

フィニーを通じて、ウォレット内の仮想通貨を決済や送金などにシームレスに行えるのを売りとしている。また分散型アプリ(Dapps)のストアも内蔵しており、「クリプトキティーズ」といったDappsをスマホにインストールできる。Dappsのプロモーション動画を視聴することで、ユーザーにインセンティブを還元する機能も盛り込んだ。

シリンは、トークンコンバージョンと呼ぶ機能も搭載している。これは保有する仮想通貨をほかの通貨に交換するものだ。今は仮想通貨同士の交換だけだが、ホゲグCEOは「将来的には法定通貨とも交換できるようにしたい」と話す。また現在はシリンがコインマーケットキャップのレートに応じて自ら交換を行っているが、将来的にはほかの取引プラットフォームとも連携し、より効率的な交換を実現したいという。

シリンによれば、同社のスマホはセキュリティ面も重視したという。過去に自社開発したセキュリティ重視の高級スマホ「Solarin(ソラリン)」のノウハウを活かし、通信の暗号化や異常な接続を検知して遮断する機能などを持つ。

HTCやサムスンなどの競合も

ブロックチェーを活用したスマホでは、HTCが製造する「エクソダス1」などが存在する。ホゲグ氏は、競合のブロックチェーンスマホとの大きな違いは「コールドストレージウォレットを搭載していることだ」と強調し、セキュリティ面で他社製品と差をつけることができると語る。

一方、昨年末にはサムスンがGalaxy S10スマートフォンにコールドウォレットを搭載するとの噂が浮上。サムスンはこの件に関して「残念ながら、コールドウォレット提供の件は憶測に過ぎない」とコインテレグラフにコメントしている。ただサムスンは欧州でブロックチェーン関連の特許を申請するなど、ブロックチェーン関連の技術開発に積極的に取り組んでいる

コールドウォレット(コールドストレージ)とは、仮想通貨をオフライン上で管理するウォレット。オフラインであるコールドウォレットは事実上ハッキングされるリスクはゼロであり、セキュリティ面では完璧である。一方で、コールドウォレット自体が物理的に破損する(秘密鍵の紛失)と自分の通貨にアクセスすることができなくなり、通貨を持ってはいるけど使えないといった事実上仮想通貨を失うリスクが考えられる。物理的な管理ができることからハードウォレット(USBなどのハードウェア)やペーパーウォレット(紙に秘密鍵が印刷されたもの)などオフラインの形態により様々な名称が存在する。

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