台湾のエレクトロニクス企業HTCは、話題を呼んでいるブロックチェーンのスマートフォン「エクソダス(Exodus)1」の先行予約販売を発表した。出荷は12月になる模様だ。同製品の公式ツイッターアカウントが23日明らかにした。

エクソダス1のプレセールは、10月22〜24日にベルリンで開催されるウェブ3サミットで正式に発表された。HTCエクソダスのウェブサイトによると、同スマートフォンへの「早期アクセス」は、仮想通貨ビットコイン(BTC)またはイーサリアム(ETH)でのみ購入可能となっており、米国、イギリス、香港など34の国と地域で入手可能だ。製品動画を見ると、背面は半透明ガラスになっているようだ。

記事執筆時点で、エクソダス1の予約注文をした場合、価格は約960ドル(約10万8000円=0.15BTC または4.78 ETH)だ。出荷予定日は2018年12月という。

ツイッターでの公式発表によると、同社はセキュリティを構築するために、提携するデベロッパーや愛好家のコミュニティとの提携を模索している。

HTCが初めてブロックチェーン・スマートフォンの計画を発表したのは今年3月だった。その後、エクソダス1では、ビットコイン、イーサリアム、ライトニングネットワーク(LN)、ディファニティネットワークなどの複数のブロックチェーンプロトコルと、ユニバーサルな仮想通貨ウォレットをサポートしていくと述べていた。

7月、HTCはスマートフォンにネイティブの仮想通貨ウォレットをインストールする計画を確認している。同社はまた、かつての人気だったイーサリアムベースの分散型アプリケーション(DAPP)ゲームであるクリプトキティーズもサポートすると話していた。その月の後半にライトコイン(LTC)の創設者チャーリー・リー氏は、ブロックチェーンのスマートフォンを作る際にHTCに相談するだろうと述べた。

しかし、米国のテクノロジーメディアのThe Vergeが指摘している通り、現在のエクソダス1は、HTCが以前に約束したものではない。5月に発表された時には、HTCの分散型チーフオフィサー(decentralized chief officer)であるフィル・チェン氏は、各エクソダスのスマートフォンがビットコイン取引を容易にする「ノード」として機能すると説明。チェン氏は当時、携帯電話はユーザーが「自分のアイデンティティを所有する」ことができると述べていたが、現地点ではそれらの機能は確認されていない。

今回発表されたプレ・オーダーで利用可能なモデルは、The Vergeが述べているように、「アンドロイドOSから保護された安全な領域」があり、そこには仮想通貨ウォレットを配置するが、その他の約束された機能は搭載されていないと伝えられている。

当初のブロックチェーン搭載計画は断念。その他のスペックは?

The Vergeによると、同スマートフォンを紛失した時、盗難にあった時、もしくは鍵情報を間違って与えてしてしまった時、「ソーシャルキー機能」を使えば、信頼する友人を介して情報を復旧することが可能だ。

HTCはシークレット共有アルゴリズムを使用し、情報を友人に送信する。スマートフォンの持ち主は、その情報をつなぎ合わせて情報を復旧する仕組み。友人はキー管理アプリをダウンロードする必要がある。また、サードパーティ企業はキーアプリやウォレットの開発も可能という。

シリン・ラブズのブロックチェーンスマートフォン「フィニー(Finney)」は11月発売予定

スイスのスマホ開発業者シリン・ラブズは、今年11月にブロックチェーン搭載のスマホ「フィニー(Finney)」を発売する予定だ。価格はエクソダス1と同等の1000ドル(約11万円)で販売される見通し。フィニーもアンドロイドを基盤にし、シリンOSを使用する。仮想通貨のコールド・ウォレットやトークン変換サービス(TCS)、分散型アプリ(DApps)のストアなどがついてくるという。フィニーの製造は、アップルやグーグル、アマゾンの製品の台湾大手メーカー鴻海科技集団(フォックスコン・テクノロジー・グループ)が行う。

シリン・ラブズは去年12月、イニシャル・コイン・オファリング(ICO)を通じて24時間で約120億円を調達した。2016年にはプライバシー重視のアンドロイド・スマートフォン、ソラリンを1万6000ドルで発売していた。今年3月には中国のテック企業、ファーウェイ(華為技術)がシリン・ラブズによって開発されたシリンOSのライセンスを求めていると報じられた。

ブロックチェーンPOSシステム開発プンディXもブロックチェーンスマホ開発中

仮想通貨決済の促進を目的にブロックチェーン基盤のPOSシステムを展開しているプンディX(Pundi X)もブロックチェーンスマートフォン「XPhone」を開発している。公式ブログによると、従来のスマートフォンとは異なり、中央集権管理の携帯通信企業を必要とせず、XPhoneは独立して動作するという。XPhoneに搭載するファンクションX OSは最新アンドロイド9.0をベースとしている。発売は2019年第2四半期を計画している。