仮想通貨「シバイヌコイン」とは

「シバイヌ(SHIBA INU)」は、日本の柴犬をモチーフとするイーサリアムブロックチェーンベースのミームコインだ。イーサリアムの共通規格であるERC-20に準拠したネイティブトークン「SHIB」などを持つ。

ミームコインのミームとは、模倣によって人から人へと伝えらえる情報や文化を指す言葉だが、ネットスラングではインターネット上で拡散されるサブカルチャー的なネタを意味する。シバイヌコインは、ドージコイン(DOGE)に対抗するミームコインとして誕生した。

ドージコインもまた、ミームコインだ。どちらもジョークとして誕生した経緯を持つが、コンセプトや機能が本格的なものであることが徐々に認知されると、人気は高まり価格も高騰するなど話題に事欠かない注目の仮想通貨となった。


創設者「リョーシ」

シバイヌコインは、2020年8月に匿名の創設者「リョーシ(Ryoshi)」によって作成された。リョーシ氏は「RYOSHI RESEARCH」と題したブログを公開している。

ブログのトップ画像に葛飾北斎の浮世絵「冨嶽三十六景 甲州石班沢」を採用していることから、その名前は日本語の「漁師」を意味するものと推測されるが、国籍や経歴など素性は一切明かされていない。

リョーシ氏は「WoofPaper」(ホワイトペーパー)において、シバイヌコインは「分散型の自発的なコミュニティ構築の実験」であると述べ、仮想通貨プロジェクトが100%コミュニティによって運営されたらどうなるのかという実験であることを明言している。

創設者であるリョーシ氏は、シバイヌコインをゼロから始めることを選択し、プロジェクトの方向性は「Shib Army」と称するコミュニティに委ねたことをWoofPaperで記している。Shib Armyによるプロジェクト開発はまったくゼロからのスタートであり、これまで一度も共同開発をしたことがないメンバーによるものであることと、「私たちは柴犬を愛しています」ということを創業理念として掲げている。

リョーシ氏は自身について、ブログでは「何者でもない」「代替可能な存在」「私はキーボードを叩いているだけの何の取り柄もない男である」と言及。この記述からは、リョーシ氏が男性であることだけが判明している。


シバイヌコインの3種類のトークン

シバイヌコインでは、ネイティブトークン「SHIB」の他にも、ドージコインのキラートークンである「LEASH」とガバナンストークン「BONE」の3種類のトークンが同時に発行されている。いずれもERC-20トークンだ。

SHIBは、シバイヌコインの基盤となるメインのトークンであり、海外の複数の仮想通貨取引所にも上場している最もポピュラーなトークンである。

LEASHは当初、ドージコインキラーとして、DOGEと価格が連動するよう設計されたトークン(リベーストークン)として作成された。しかしリベースは解除され、現在はシバイヌコインが運用するDEX「ShibaSwap」にて流動性を提供したユーザーに対する報酬用のトークンとして利用されている。

BONEは、その保有量に応じてシバイヌコインプロジェクトの方向性や課題解決などの提案に関する投票権が付与される、ガバナンストークンとして利用されるものだ。Shib Armyが計画するDoggy DAOなど、シバイヌコインの今後にも寄与することを可能にするトークンとなる。

シバイヌコインの公式サイトによると、創設者のリョーシ氏は最初に1000兆SHIBを発行した。その後、総供給量の50%をUniswapにてロックし、残りの50%はイーサリアムの共同創業者ヴィタリック・ブテリン氏に送られている。

SHIBを受け取ったヴィタリック・ブテリン氏は、そのうちの50兆SHIBを新型コロナウイルス感染症が急速に拡大したインドを支援するために寄付し、残りのSHIBは機能していないウォレットに送金し、バーン(焼却)した。リョーシ氏によると、これらはシバイヌコインの長期的な計画の成功とトークンの安定性のための措置であり、希少性を確保するものになると言及している。

2021年11月時点で、SHIBの総供給量は約550兆SHIB程度であり、今後もSHIBの希少性を確保するためにバーンする可能性があることも示唆している。また、開発当初リョーシ氏は一切のトークンを保有はしていないと説明。シバイヌコインの開発を担うShib Armyのメンバーもまた、すべてボランティアで作業を行っており誰一人トークンを保有していないという。

公平を期するためにリョーシ氏を含めた開発メンバーも、他のユーザーと同様の手段を取らなければシバイヌコインのトークンを入手することはできない。


ShibaSwap

シバイヌコインプロジェクトは2021年7月、SHIB、LEASH、BONEの3つのトークンを集結させてDeFiプラットフォームを進化させたDEX(分散型取引所)シバスワップ(ShibaSwap)をローンチした。

シバスワップは、ユーザーに対してトークンのDig(流動性の提供)、Bury(賭け)、Swap(交換)といった機能を提供する。

さまざまなトークンの交換や流動性の提供による手数料(報酬)の獲得に使われるほかにも、シバイヌコインの3つのトークンをステーキングするBuryという機能や、特定のトークンペアを預けることで報酬が得られるWoofという機能などがある。

具体的には、BuryではSHIB、LEASH、BONEを一定期間ステーキングすることで報酬としてBONEを獲得することが可能だ。また、トークンの流動性を提供するDig機能は、ユーザーが流動性を提供することでそのトークンペアの取引で発生する手数料を獲得できる。Digにより獲得した手数料(SSLPトークンという)を一定期間預けることで、BONEを獲得できるのがWoofの仕組みだ。

出所:ShibaSwap

 
SHIBの価格動向

シバイヌコインのSHIBトークンの上場は比較的新しく、2021年5月にバイナンス(Binance)やFTXなど複数の仮想通貨取引所に上場を果たしたばかりの銘柄である。

上場以前のSHIBの価格は、0.00016~0.00018円あたりを推移していたが、上場後、価格はすぐに高騰し、一時は0.0038円超えを記録している。その後は下落するも、安定して0.001円前後を推移している。SHIBは、上場前より1000%の価格上昇を見せて話題になった。

その後は5カ月間、ほぼそのままの価格を維持していたが、2021年10月になってSHIBは再び高騰し、10月27日には0.009円の最高値を記録。徐々に下落をしていくも、11月になっても0.0004円前後を維持している。

再び上昇した理由としては、新たに上場される仮想通貨取引所の噂や、ドージコインの購入者として有名な米テスラCEOのイーロン・マスク氏のツイッターでの発言が影響しているとみられている。

以前、イーロン・マスク氏がツイッターで「I’m getting a Shiba Inu(私は柴犬を手に入れた)」と発言したことで、ドージコインの価格が上昇したことがあり、イーロン・マスク氏が柴犬に関連した発言をするたびに、ミームコイン市場が反応するようなっていた。

シバイヌコインもその影響を受けて、以前から市場が反応を見せるようになったようだ。


SHIBはミームコインでありながら時価総額でトップ10に迫る位置にいる 出所:Coingecko

SHIBなどミームコインへの投資のリスク

イーロン・マスク氏のひと言で価格が変動するミームコインは、著名な企業家や投資家などの発言の影響を受けやすい傾向にあるといえる。

ジョークとして誕生した経緯のあるミームコインは、SNSなどでもネタになりやすく、話題にあがることも少なくない。ミームコインの中には、詐欺まがいのものも存在するので注意が必要だ。ミームコインに関する情報は見極めが必要であることも忘れてはならない。

ちなみにイーロン・マスク氏はSHIBを持っているかという質問に対して、SHIBは「一つもない」と答えている。その後もツイートで、ビットコインとイーサリアム、ドージコインを買ったことはあるが「それだけだ」と説明している。

こうした発言を受けてSHIBは若干下落するも、11月になっても0.0004円前後を維持している。こうした状況からもミームコインの価格の予測は、難しく常にリスクがつきまとうといっていいだろう。

シバイヌコインのようなミームコインへの投資は、噂や不確定要素の高い情報に惑わされることなく、しっかりとしたファンダメンタルズを元に投資するようにしたい。


シバイヌコインの今後


ShibaNFT

シバイヌコインは、ShibaNFTを発行し、NFTマーケットプレイスのオープンシー(OpenSea)で取引を開始している。

ShibaNFTの公式サイトによると、計画中のShibaNFTでは柴犬コレクターズ向けのNFTコレクションを提供する予定としているが、オープンシーにて公開済みのNFTがこれを指しているかは定かではない。

ShibaNFTでは、新たに発行されるSHIBANトークンを中心としたユーティリティを提供し、まずはNFTの収集ができるようになるようだ。その後、開発するプラットフォーム上でNFTの貸し借りを多額の利息で行うことができるエコシステムを構築する。

SHIBANトークンで入手することができる7777のNFTは、ユーザーの大切なペットとしてバーチャルに利用・収集することができ、育成や繁殖も可能になるという。

将来の計画としては、SHIBANトークンはバイナンスのNFTマーケットプレイスやオープンシーからNFTを購入するために使用できる、クロスチェーンを支える資産となることも目指すとしている。


シバイヌコイン レイヤー2ソリューション

リョーシ氏は自身のブログで、将来的なビジョンとしてシバイヌコインのレイヤー2ソリューションについても言及している。

計画中のShiba L2もしくは独自ブロックチェーンのShibariumは、ツイッター上ではBSC(Binance Smart Chain)やMatic NetworkのPolygonと提携するのではないかと噂されているようだ。しかし、リョーシ氏はそれを否定している。

Shiba L2(Shibarium)では、実際にBONEを主要なペアトークンとして使用する予定であるという。

また、「SHI」というステーブルコインを発行する計画も明らかにしている。SHIは、グローバルな価値の交換が可能で、米ドルの1セントにペッグ(固定)されたコインとなるようだ。

SHIは、Shiba L2(Shibarium)の完成後にローンチしたいと考えているが、事前にイーサネットブロックチェーン上で発行し、のちにブリッジオーバーすることも可能だとしている。

リョーシ氏は、これらはアイデアの種に過ぎないと説明。実際に開発する際には、第三者のオラクルに依存しないように注意して構築する必要があると語っている。シバイヌコインの将来ビジョンとしては、永続的かつ自律的に構築されるものが必要との見解を述べている。

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