米証券取引委員会(SEC)は、仮想通貨取引所クリプト・ドットコム(Crypto.com)に対する調査を正式に終了した。取引所に対する法的措置は取られなかったと、同社CEOのクリス・マルシャレク氏が3月27日にX上で発表した。
「彼ら(SEC)は、銀行、監査人、投資家などへのアクセスを制限することで、我々の活動を妨害しようとあらゆる手段を講じた。それは業界そのものを終わらせようとする計画的な試みだった」とマルシャレク氏は述べた。
「それでも我々は耐え抜き、むしろ強くなった。このことは、我々のビジョンと、それを支えるコミュニティの力を示している。ここから前進あるのみだ」
今回の発表は、SECが2024年8月にクリプト・ドットコムに対してウェルズ通知(法的措置の意向を示す事前通知)を出してから7か月後のこととなる。
クリプト・ドットコムの最高法務責任者ニック・ラングレン氏も同日声明を出し、「現SECの指導部が調査終了を決定したことを歓迎する」と述べ、前政権下のSECは「その権限を乱用し、仮想通貨業界に害を与えようとしていた」と非難した。
なお、クリプト・ドットコムはこのウェルズ通知の2か月後にSECを提訴しており、ゲンスラー前委員長率いるSECが「権限を逸脱し、誤った規制アプローチを取っている」と主張していた。
SECは相次いで過去の措置を撤回
今回のクリプト・ドットコムの発表は、SECが過去5週間にわたって他の複数の仮想通貨関連企業に対する調査や訴訟を次々と終了させてきた流れの一環である。これには、コインベース、コンセンシス、ロビンフッド、ユニスワップ、オープンシー、そして最近ではイミュータブルが含まれる。
SECはまた、3月27日には仮想通貨取引企業カンバーランドDRWに対する民事訴訟も却下として終了させた。
1月20日にゲンスラー前委員長が退任し、マーク・ウエダ氏が委員長代行に就任して以降、SECは仮想通貨業界に対してより友好的な姿勢を取っている。SEC内には、ヘスター・ピアース委員をリーダーとする「仮想通貨タスクフォース」も設置され、新方針のもとで業界支援が進められている。
さらに1月23日には、金融機関が保有する仮想通貨を貸借対照表上の負債として計上するよう求める規則も撤回された。
ドナルド・トランプ大統領がSEC委員長に指名したポール・アトキンス氏も、財務情報の公開を巡る問題を乗り越え、次期委員長就任に向けて前進している。
トランプメディアとETFで提携
クリプト・ドットコムは3月24日、トランプ・メディアと提携し、「メイド・イン・アメリカ」をテーマにした新たな仮想通貨ETFの年内立ち上げを発表している。
このETFには、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、ソラナ(SOL)、XRP、クロノス(CRO)など複数のトークンが組み込まれる見通しで、クリプト・ドットコムはインフラとカストディ(保管)業務を提供する。