米国証券取引委員会(SEC)は、メタマスクの開発元である仮想通貨企業コンセンシスに対する訴訟を取り下げることで基本合意に達した。この訴訟では、メタマスクの一部機能が証券法に違反していると主張されていた。
イーサリアム共同創設者であり、コンセンシスの創設者でもあるジョセフ・ルービン氏によると、SECはこの訴訟を事実上終了させる申し立てを行うことに合意しており、最終的な承認はSEC側の手続きに委ねられているという。ルービン氏は次のようにコメントした。
「これで、私たちは100%開発に集中できる。2025年はイーサリアムとコンセンシスにとってこれまでで最高の年になるだろう。より分散化された世界へのパラダイムシフトが加速している。」
コンセンシスの弁護士ビル・ヒューズ氏はコインテレグラフに対し、SECが訴訟を取り下げることは比較的単純な決定であり、その際、コンセンシスに対して罰金や条件が課されることはないと語った。
「SECの訴訟チームも、規制当局としての方向性が変わりつつあることを理解していた」とヒューズ氏は述べ、この方針転換の背景にはリーダーシップの交代と、トランプ政権の親仮想通貨政策があると指摘した。
「選挙後、コンセンシスとSECの会話の雰囲気は明らかに変わった」と同氏は付け加えた。
コンセンシスは2024年6月にSECから提訴されていた。SECは、メタマスクを通じたステーキングサービスやデジタル資産のスワップ提供によって、同社が2億5000万ドル以上の手数料を得ていたと主張していた。
Source: Joseph Lubin
SECによるコンセンシスへの訴訟取り下げは、仮想通貨企業に対する一連の執行措置撤回の最新の動きだ。これまでにユニスワップやロビンフッドジェミナイに対する執行措置も取り下げられている。
コンセンシス、SECに対して攻勢を強める
コンセンシスは2024年4月、SECがイーサリアム(ETH)を証券として規制しようとしているとして、同機関を提訴していた。
コンセンシス側の弁護士は、SECが「仮想通貨の未来を支配しようとしている」と主張し、ETHを証券と分類すれば、ネットワーク上でETHを送信する行為そのものが違法になりかねないと警鐘を鳴らした。
また、コンセンシスの弁護士は、SECの元委員長ゲイリー・ゲンスラー氏が2018年に行った発言を引き合いに出し、当時のSECはETHを証券とは見なしていなかったと主張した。
2024年6月、SECはイーサリアムに関する調査を終了した。ルービン氏は、SECに対するコンセンシスの訴訟がゲンスラー氏の2018年の発言を争点とする形になったことが、その決定に影響を与えたと述べている。