米国証券取引委員会(SEC)は2月19日、2017年に実施したICO(イニシャル・コイン・オファリング)に関して、ブロックチェーン関連スタートアップ「エニグマ」と和解したと発表した。エニグマは、損害賠償請求プロセスを介して被害を受けた投資家への資金返還、ENGトークンの証券登録およびSECへの定期報告書提出、50万ドル(約5700万円)の罰金支払いに同意した。

発表によると、エニグマは、2017年夏・秋に実施したENGトークンのICOで約4500万ドル(約50億円)を調達したという。SECは、ENGトークンについて有価証券と分類し、エニグマが未登録証券の提供を行ったと主張した。エニグマは、「(この主張を)認めたり、拒否したりすることなく、命令に同意した」そうだ。

SECは投資家への補償を命令

プレスリリースにおいて、SECボストン支所のジョン・ジューディガン氏は、「すべての投資家は、伝統的な資産・新形態の資産のどちらであれ、証券提供に関し発行者から、信頼できる客観的な情報を受け取る権利がある」と述べた。また次のように付け加えた。

「今回の命令における救済策で、ICO投資家に利益を得る機会を提供し、投資判断を行う際に十分な情報を投資家が得られるようにする」

エニグマは、マサチューセッツ工科大学(MIT)発のプロジェクト。仮想通貨イーサリアム(ETH)の分散型アプリ(Dapps)向けに、プライバシーを重視したプラットフォームの構築を目指している。同社のシークレットコントラクトは、スマートコントラクトを秘匿化するものという。従来のスマートコントラクトは、パブリックチェーンでの取引情報が見える状態になっているが、シークレットコントラクトによりプライベートデータや機密データを秘匿できるという。

コインマーケットキャップ(CMC)のデータを見たところ、記事掲載時点ではENGトークンには顕著な価格下落などは起きていないようだ。

エニグマは2月20日、メインネットの立ち上げ成功を発表した。メインネットの立ち上げ成功が示すように、SECとの和解はエニグマを前進させると述べている。


翻訳・編集 コインテレグラフ日本版