ペイパルによれば、米証券取引委員会(SEC)が同社の米ドル建てステーブルコイン「ペイパルUSD(PYUSD)」に対する調査を終了し、法的措置を取らない方針を示した。
4月29日付の提出文書によれば、SECは2023年11月にペイパルに対して執行部門から召喚状を発行し、PYUSDに関する文書提出を求めていた。ペイパルは当時、「SECの要請に協力している」としていたが、今回の文書では「2024年2月に、SECが本件調査を執行措置なしで終了する旨を通知してきた」と明らかにした。
ペイパルは、PYUSDが米ドルと1対1で交換可能であり、「短期国債や現金同等物などのドル建て資産で完全に裏付けされている」と説明している。
PYUSDはステーブルコイン市場において、依然としてテザー(USDT)やサークルのUSDCといった競合に大きく後れを取っている。コインゲッコーのデータによると、PYUSDの時価総額は現在8億8000万ドルにとどまり、テザーの1485億ドルと比較して1%にも満たない。
ただし、2025年初頭からは循環供給量が75%増加するなど、成長の兆しも見られる。2024年8月のピーク時(10億ドル超)と比べると、現在は14%下回っているが、緩やかな回復基調にあるといえる。
コインベースとの提携で普及加速を狙う
ペイパルは4月23日、PYUSD保有者に対して年利3.7%の報酬を付与する新たなロイヤルティ・プログラムを発表した。対象は米国ユーザーで、PYUSDをプラットフォーム上に保有することで報酬が得られる仕組みとなっている。
さらに4月24日にはコインベースとの提携も発表。PYUSDのユースケースを拡大し、仮想通貨コミュニティ全体への浸透を目指す。
「コインベースをはじめとした仮想通貨業界全体と連携し、PYUSDを中心とした新たで革新的なユースケースを創出できることに期待している」と、ペイパルのアレックス・クリスCEOはコメントしている。
同社は2025年第1四半期の決算も発表しており、1株あたり利益(EPS)は1.33ドルと、アナリスト予想の1.16ドルを上回った。売上高は前年同期比で1%増の78億ドルを記録し、堅調な成長を維持している。