SBIホールディングスの北尾吉孝CEOは、10月28日に開催された決算説明会の中で、セキュリティトークンを取り扱う新たな私設取引所(PTS)を大阪に設立する考えを示した。

大阪・神戸を中心とする次世代の国際金融センター構想について説明する中で、「普通株とセキュリティトークンを合わせたPTSを大阪に作ろうと思っている」と北尾氏は語った。北尾氏は9月初めのメディアとのインタビューの中で同様の構想を示していたが、改めて国際金融センター構想とフィンテックの癒合の考えを示した形だ。

セキュリティトークンの発行・流通市場の創設については、発行を行うプライマリーマーケットだけでなく、トークン保有者間で売買を行うセカンダリーマーケットなどを整備していく方針だ。その一環として、セキュリティトークンを扱うPTSを大阪に設立することを検討している。

SBIでは10月30日に、傘下の「SBI e-Sports」によるSTOを用いた第三者割当増資を予定している。これはSBI e-Sportsがデジタル株式を発行し、SBIホールディングスが増資を引き受ける形となる。

これを皮切りにSBIではSTOビジネスを本格展開する予定だ。将来的には事業会社を発行体とするデジタル社債の公募取扱いや、ファンド型STOの公募取扱いなど、一般投資家を対象にセキュリティトークンの投資機会を提供する予定だという。

リップル移転「日本は最有力候補」

また国際金融センター構想を説明する中で、北尾氏は「リップルが拠点移設について、日本を最有力候補にしている」とも語った。

リップルは現在、米サンフランシスコを拠点としているが、米国での仮想通貨規制の不透明さを理由にした海外移転の可能性が、リップルの幹部の口から取り沙汰されている。10月はじめには、リップルのクリス・ラーセン会長が本社を米国外に移す可能性について言及。ラーセン氏は、シンガポールや英国、日本の名前を挙げた。

さらに最近では、リップルのブラッド・ガーリングハウスCEOが、10月22日のブルームバーグの記事の中で、日本とシンガポールを移転先の候補地として言及した

SBIはリップルへの出資者であり、北尾氏はリップルの取締役も務めている。リップルの経営陣からの声を直接聞いている可能性もありそうだ。

実際、10月22日のブルームバーグの記事の中で、ガーリングハウス氏は「日本は、SBIのような主要パートナーがいることもあり、最も急成長している市場の1つだ」と評価。日本に移転する可能性について、SBIのチームとも議論していることを明らかにしている。