SBIホールディングスの北尾吉孝社長は、30日の決算説明会で、欧州企業との間でセキュリティートークンオファリング(STO)で提携をする考えを示した。現在協議中であり、11月にも出資について発表できるのではないかとの見通しを示した。

「STOは、米国や欧州をはじめ、世界的に脚光を浴びている。欧州では、ある企業に投資をすることで話を進めている。これが実現すれば、欧州でのSTOや仮想通貨についても考えていくつもりだ」

STOについては、来年の改正金融商品取引法の施行で日本国内でもルールが整う形になる。

SBIは、野村証券やカブコム、マネックスなどと日本STO協会を10月に設立した。今後、STO協会で自主規制ルールなどの議論を行い、自主規制団体の認定取得を目指すとしている。

北尾氏は、現在6社の協会メンバーについても今後拡大する方向である考えを示した。

「(STO協会に)入りたいという声がたくさん来ている。幅広くいろいろな証券会社に対してオープンでいるつもりだ。それぞれのところで知恵を絞ってマーケットづくりをしていけばいい」

北尾氏は、STOがベンチャー企業にとっての新たな資金調達手段となる可能性があると強調した。

「IPOほど負担がなく、スピーディに資金調達できるようになる。投資家にとっても新しい投資商品になるだろう。自主規制団体のもとで、法令遵守、詐欺の防止、情報開示を徹底していく」

各証券会社がSTOのプラットフォームづくりに注力すべきだとの考えを示した。またSTOで発行したセキュリティトークンの二次流通市場の整備が、これからの課題になると指摘した。

ヤフーとの提携深化は「成果を出してから」

ヤフーを運営するZホールディングスと、金融領域での業務提携を今年10月に発表しているが、そのきっかけについては「孫さんが金融事業ではSBIにかなわない。北尾に任せた方がいいと考えたからだろう」と発言した。

SBIとZホールディングスは、バンキング、FX、ネット証券の3分野で連携していく方針だ。

決算説明会では、今後資本提携に発展するのかという質問が出たが、「まずはお互いに収益拡大に役立つかどうかを見極めてから」との考えを示した。その上で「(資本提携に)発展することがあれば、発展するかもしれない。今後どうなるかはフレキシブル」と述べた。