ヤフージャパンを運営するZホールディングスと、SBIホールディングスは10日、金融事業における業務提携を発表した。証券、FX、バンキングの3つの領域でシナジーを発揮する考えだ。10日に両社が提携に関する記者会見を行った。

Zホールディングスは10月1日からスタートした新会社。ヤフー事業をを担うヤフー株式会社や金融事業持株会社Zフィナンシャルなどを傘下に持つ。

証券領域ではヤフーファイナンスから口座開設や証券取引をできるようにする考えだ。FX事業では、両社のFX会社の流動性を組み合わせ、スプレッドの最小化などを進める。またバンキングでは、Zフィナンシャル参加のジャパンネット銀行で「フラット35」の提供などを進める。

Zホールディングスの川邊健太郎社長は、「金融とインターネットが融合するフィンテックは、メディア、コマース、データの各事業と並ぶ重要なテーマだ」と強調。より良いユーザー体験を提供していきたいと話した。

「SBIとヤフーは親戚筋」

SBIの高村正人副社長は、「もともとSBIとヤフーは親戚筋」と今回の提携協議のきっかけを語った。SBIはもともとは「ソフトバンク・インベストメント」の略称。ソフトバンクグループの金融関連企業として設立されたが、その後グループを離脱した。

その上で、今回の提携の狙いについて、次のように話した。

「日本最大級のネットユーザーとビッグデータを持つZホールディングスと提携することで、相互にシナジーを発揮し、素晴らしいサービスを提供したい」

川邊氏は、金融を身近なものにするため2つのグループでシナジーを発揮させると今回の提携の狙いを語った。

仮想通貨・ブロックチェーンでの連携は…

Zホールディングスは傘下で仮想通貨取引所タオタオを展開。SBIもSBI VCトレードで取引所を行うほか、リップルやR3と合弁会社を作るなど、仮想通貨・ブロックチェーンに積極的に取り組んでいる。

今回の提携をきっかけに、仮想通貨・ブロックチェーン事業での連携する可能性はあるのか。

川邊社長は現時点では「話は出ていない」と述べた。

「ブロックチェーン事業についてはタオタオという取引所を持っているが、現時点で両社で何か一緒にやろうという話は出ていない」

ただ将来的に、仮想通貨・ブロックチェーン領域でサービス展開をする可能性がないわけではなさそうだ。

SBIの高村氏は、次のように語った。

「当然、ブロックチェーンというのものが避けて通れないものとして出てくれば、ブロックチェーンをやるというサービスがあればよいと考えている」

両社にメリットがあり、顧客に便益を与えるものであれば、検討に値するというスタンスのようだ。

プラットフォーマーが金融大手と仮想通貨・ブロックチェーンで協力する事例ではLINEが先行している。LINEは10月4日、野村ホールディングスと資本業務提携を結んだ。LINEの仮想通貨子会社LVCに野村が出資したほか、ブロックチェーン技術を活用した金融サービスの提供を目指すとしている。

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