仮想通貨取引所FTXのサム・バンクマン=フリードCEOは21日、オーストラリア・ブロックチェーンウィークの基調講演を行った。イベント初日はオーストラリア証券取引所(ASX)本部で開催された。

バハマからリモートでイベントに参加したバンクマン=フリード氏は、基調講演でFTXオーストラリアの設立を発表した。

「これは何ヶ月も前から取り組んできたもので、会社として優先順位の高いものだった」

バンクマン=フリード氏によると、オーストラリアでのFTX開設は、取引所ができるだけ多くの国でライセンスと規制を受ける大きな動きの一部だという。

同氏は、仮想通貨におけるアジア太平洋地域のハブを求めている声が多く聞かれるとし、この地域の他の場所は「期待に応えられていない」と指摘した。

オーストラリア政府は同国を仮想通貨ハブとして売り込もうとしており、連邦金融サービス・デジタル経済大臣であるジェーン・ヒューム上院議員は、仮想通貨に関してオーストラリアは「ビジネスのために開かれている」とコメントした。

「イノベーションの仮想空間でパイオニアになりたいならば、オーストラリアはそのビジネスのために開かれている。デジタル経済担当・金融サービス担当大臣として、私は個人的に応援している」

会議で開会の辞を述べたアンドリュー・ブラッグ上院議員も同じ態度を示した。ブラッグ氏はスピーチの中で、オーストラリアにおける自律分散型組織(DAO)、デバンキング、税金、仮想通貨企業のライセンスに関する規制を改革するための法律の提案を発表した。

ヒューム氏は、仮想通貨を1990年代後半のインターネットブームと比較し、デジタル資産経済が2030年までにオーストラリアのGDPを約2.6%を増加させ、約20万人の新規雇用を生み出す可能性があると述べた。同氏は誤った規制の枠組みを適用した場合、オーストラリアは「失敗する」恐れがあると危惧した。

"我々は仮想通貨のイノベーションを奨励したい。革新こそが繁栄を生み、雇用と経済成長を生み出すからだ。"

最新の世論調査によると、現政権は野党に10ポイントもの差をつけられている。5月に迫った選挙の結果によっては、ブラッグ上院議員とヒューム上院議員の計画は危うくなるかもしれない。しかし、仮想通貨を推進する姿勢は、若い有権者を連合に向かわせ、政府の戦略となる可能性があるだろう。