ネット上での個人情報管理やプライバシー保護に革命をもたらす「データウォレット」。フェイスブック等の大手SNS企業への信頼が揺らぐ中、ユーザーにデータ管理の主導権を戻す「データ取引所」を目指す同プロジェクトが注目を浴びている。2月にはトークンセールで42億円の調達を完了。スカイプ、ツイッター、テスラ等への投資で有名なティム・ドレイパー氏や、セールスフォースのマーク・ベニオフCEO、更には日本のデジタルガレージ等も投資するなど勢いに乗るプロジェクトだ。

DXTトークンは複数の取引所に上場 

 「データウォレット」は2月にトークンセールを完了し42億円を調達した。その時発行されたERC20準拠のDXTトークンはIDEX、Bibox、Cobinhoodに上場している。同トークンはデータウォレットが運営する「データ取引所」のエコシステムで使用できる。 ちなみに開発チームはプロジェクトへの長期的なコミットメントを宣言し、所有するトークンの90%をロックアップ(売却不可な状態)している。

フェイスブックの個人情報漏洩事件のさ中、個人がデータを安全に管理し利益を得る方法を提供

 iPhoneで記録した位置情報、フェイスブックに登録した個人情報、アマゾンでの買い物ーー。これら全ての行動履歴やデータがブローカーによって売買されているのを知っているだろうか。特にフェイスブックから8700万人分の個人情報が選挙対策コンサル企業の手に渡ったスキャンダルに衝撃を受けた人も多かったはずだ。そしてフェイスブックの事件は氷山の一角に過ぎない。

 「データの闇取引」市場は着実に拡大している。米議会によると2012年の米個人情報データ市場は16兆円規模にのぼる。データブローカーは1ユーザーあたり年間17万円を受け取っているという計算になる。しかも同市場は年率27%で伸び続け、2022年までに各ユーザーが自身の個人情報と引き換えに受け取れるはずの金額は約71万円になるというから驚きだ。データウォレットはこの16兆円という巨大市場をユーザーの手に返そうとしているわけだ。

 現在、大手ネット企業が大量の個人情報を独占している。「データウォレット」はこれを各ユーザーの管理下に戻した上で、仮想通貨を使ってデータをマネタイズする選択肢を提供する斬新なプロジェクトだ。

スマホ向けアプリやAPIのα版もリリース済

 「データウォレット」はスマホ向けアプリを開発中で、現在はα版がリリースされている。各アプリやSNSとの連携を可能にするData APIのα版も開発者向けに公開した。特に、大量の個人情報データサンプルが必要なAIと組み合わせると威力を発揮する。

 APIを使うと、企業がデータウォレットアプリ内のマーケットプレイスで独自のデータ取引所を設置したり、ユーザーがこれら企業のデータ取引所に情報を提供するかどうかを選択し、DXTトークンを受け取ったりカスタマイズされたサービスを享受することができる。

 企業はこの「データ取引所」から得られたインサイト(多くの匿名ユーザーに関する洞察や分析)をもとに、よりユーザーの嗜好にあった新たなプロダクト開発や既存サービスの向上につなげることができる。

 実用例としては、広告主が「データ取引所」から得たデータを使ってより効率なターゲット広告を展開して広告キャンペーン予算を削減したり、自動車保険の価格決定に透明性と公平性をもたらすことができる。

 また、「データ取引所」から得られたインサイトを用いてAI学習機能を使ったサービスのカスタマイズを加速させることができる。

 実際、フェイスブックやツイッターといったSNSから得られる情報を使い、音声入力ソリューションに活用しようという企業も参入している。匿名化されたユーザーの個人情報データを使い、アマゾンのアレクサやGoogleアシスタントなどの「音声アシスタント」機能を向上しようとしている。

 例えばアマゾンの「アレクサ」を時間をかけてトレーニングすることなく、「データ取引所」からの大量のデータを使ってすぐに使えるようにするといった実用例も考えられるという。

セールスフォースのマーク・ベニオフCEOや著名投資家ティム・ドレイパー氏、デジガレも初期に株式投資

 また、「データウォレット」との提携を検討する企業も増えている。世界的なプライバシー意識の高まりや、正規のオーディエンスデータへの需要が急増していることが背景にある。コンテンツ共有プラットフォームであるSteemitとの提携や、「シェアリングエコノミー」の代表格であるUberやAirbnbへの投資で知られるジェフリー・ワーニック氏がアドバイザーとして就任するなど、今後も重要アナウンスが続きそうだ。

 また注目すべきはスカイプ、ツイッター、テスラ等米IT大手への投資で有名なティム・ドレイパー氏やセールスフォース・ドットコムのマーク・ベニオフCEOがプロジェクトの初期にデータウォレットにエクイティ投資していることだ。セールスフォースは顧客管理やCRMの分野で世界トップのIT企業であり、ベニオフCEOによるデータウォレットへの投資は業界の次のトレンドを示しているのかもしれない。

 また日本でツイッターを普及させたり価格ドットコムで有名なデジタルガレージも投資したことも特筆に値するだろう。ちなみにデジタルガレージはブロックチェーン技術開発でトップ級企業であるブロックストリームにも投資しており、データウェレットへの投資も同社のブロックチェーン戦略の一環なのかもしれない。

 フェイスブックにおける個人情報漏洩事件の余韻が続く中、プライバシー保護の世界でダークホースとなり得る「データウォレット」の取り組みは今後も要チェックだ。

 


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