ロシア連邦金融監視サービス(FMS)は、仮想通貨取引、特にビットコイン(BTC)の取引を追跡する分析ツールを導入する。BBCニュース・ロシアが8月29日に報じた。
新しい分析ツールは、18年末までにFMSの監視システムに盛り込まれる予定だ。このツールには、詐欺などの疑いがある断片化した情報を結合し、異なる事件を関連づけることが期待されている。
分析ツール開発の契約を受注したのは、モスクワに拠点を置くインスティチュート・フォー・インフォメーション・セキュリティ・アンド・アナリシス(SPI)社。BBCによれば、SPIはかつて、FMSの監視システムのほか、ロシアの治安部隊や保険会社などに幅広く利用されているiRuleというソフトウェアを開発している。
公文書によると、契約は1億9550万ルーブル(約290万ドル)相当で、デジタルウォレットユーザーの追跡を可能にする技術を規定している。同ツールは特定の個人の名前、銀行口座、クレジットカード、携帯電話の番号、および電子ウォレットの番号を発見できるようになる。さらに仮想通貨とビットコイン取引についてのデータも含む。
ロシアの連邦金融監視サービスは、仮想通貨に対して長く批判的な姿勢を示してきた。14年のプレスリリースでは、同機関はデジタル通貨の利用だけでも取引を違法とする根拠になり得るとしている。
プーチン大統領のネット問題のアドバイザーを務めたことがあり、メッセージアプリ「テレグラム」のロシアでの利用禁止で強行アプローチを取ったことで知られるゲルマン・クリメンコ氏は、BBCの取材に対して仮想通貨に対する政府の姿勢を次のように説明した。
「その匿名性と、取引のソースを見つけることが不可能であることから、仮想通貨はグレーエリアで利用されている。ダークウェブでの武器、薬物、暴力的なビデオの購入がその一例だ。(プーチン)大統領のために行った分析によって裏付けられたこの事態に、多くの国の政治家が懸念を持っている」
ロシアでは仮想通貨の法制化に向けた動きも進んでいる。デジタル金融資産関連法案が今年3月にまとめられ、議会で審議が行われている状況だ。