XRPを開発するリップルは、アラブ首長国連邦(UAE)でブロックチェーンを活用したクロスボーダー決済サービスを開始した。UAEはデジタル資産に寛容な姿勢を示しており、今回の導入は仮想通貨の実需拡大を後押しする可能性がある。
5月19日の発表によれば、UAE初のデジタル銀行であるザンド銀行と、企業向けのデジタル決済プラットフォームを提供するフィンテック企業マモが、このブロックチェーン決済システムの主要利用者となる。
両社はリップル・ペイメンツを用いて、ブロックチェーンを介したクロスボーダー決済を実行する。
リップル・ペイメンツは、ステーブルコイン・仮想通貨・法定通貨を統合することで迅速な決済を可能にするWeb3プラットフォームであり、従来の国際送金インフラでは実現しにくい即時性や透明性を備えている。
リップルは3月、ドバイ金融サービス機構(DFSA)から仮想通貨決済のライセンスを取得しており、これによりUAEでのサービス展開が正式に認められた。リップルの中東・アフリカ地域担当マネージングディレクターであるリース・メリック氏は、このライセンス取得について、「リップルは、世界有数のクロスボーダー決済ハブであるUAEにおいて、従来の国際送金が抱える高コスト、決済の遅延、透明性の欠如といった課題に対応するソリューションを提供できるようになった」と述べている。
仮想通貨を積極導入するUAE
ブロックチェーンデータ企業チェイナリシスの2024年のレポートによれば、UAEの仮想通貨導入度は151カ国中56位にランク付けされた。特に分散型金融(DeFi)、ステーブルコイン、アルトコインの活用において高スコアを獲得している。
ただし、UAEは仮想通貨関連の施策を強化しており、今後このランキングが上昇する可能性もある。アブダビやドバイをはじめとする各首長国は、仮想通貨の国際的拠点となることを目指して環境整備を進めている。
さらにUAEは、中央銀行デジタル通貨(CBDC)にあたる「デジタル・ディルハム」の導入計画も進めている。
5月19日、ドバイの仮想資産規制局(VARA)は、デジタル資産取引に関する監督強化を発表した。今回の規制強化は、特に証拠金取引とトークン配布に焦点を当てている。