リップルによる12億5000万ドルのプライムブローカー「ヒドゥン・ロード」の買収は、ブロックチェーン決済企業である同社にとって「決定的な瞬間」だと、最高技術責任者(CTO)のデイビッド・シュワルツ氏は強調した。これにより、XRPレジャーの機関向けユースケースがさらに広がる可能性があるという。
「リップルによるヒドゥン・ロードの買収は、XRPレジャーとXRPにとって決定的な瞬間だ」とシュワルツ氏は4月8日にソーシャルメディア上で語った。
ヒドゥン・ロードは、300を超える機関顧客を抱えるプライムブローカー兼信用ネットワークであり、通常1日あたり100億ドル以上の取引を清算し、伝統的な決済網を通じて5000万件超のトランザクションを処理している。
「この活動の一部でもXRPレジャー上で行われることを想像してほしい──それこそがヒドゥン・ロードの計画であり、さらに将来的には、担保資産や実世界資産(RWA)をトークン化してXRPL上で活用することも視野に入っている」とシュワルツ氏は述べた。
Source: Ripple
リップルは以前から、XRPレジャーをスケーラブルな現実世界資産(RWA)向けプラットフォームとして位置づけてきた。2023年11月には仮想通貨取引所アーチャックスと提携し、トークン化されたマネーマーケットファンドを立ち上げている。
しかし、現時点ではXRPレジャー上でのトークン化はごくわずかにとどまっており、業界データによれば、同チェーン上のRWAは2件、総額で約5000万ドルにすぎない。
The XRP Ledger has yet to take off as a tokenization platform. Source: RWA.xyz
現実世界資産市場は拡大を継続
仮想通貨市場全体が世界的な成長懸念や金融引き締めの影響を受けて下落傾向にある中、オンチェーンのRWA市場は過去30日間で9.2%成長した。同期間中、資産保有者の数も6.2%増加したと、RWA.xyzは報告している。
債券、コモディティ、株式、不動産、M2マネーサプライなど幅広い市場に適用できることから、伝統金融のアナリストたちは、トークン化されたRWA市場が2030年までに数兆ドル規模に達すると予測している。
According to various estimates, the value of tokenized securities could reach at least $2 trillion by 2030. Source: Tokenized Asset Coalition
さまざまな推計によれば、トークン化された証券の市場規模は2030年までに少なくとも2兆ドルに達する可能性がある。
CMEグループやグーグルといった世界有数の企業もすでに資産のトークン化に取り組んでおり、Google Cloud Universal Ledgerを活用して資本市場の効率性を高める方法を共同で模索している。
PrometheumのCEOであるアーロン・カプラン氏は最近コインテレグラフに対し、米国の規制環境はトークン化の本格普及に適した状況にあると述べた。最大の障壁は、トークン化された資産を売買できる二次市場がまだ十分に存在していないことだという。しかしこの点も、仮想通貨ネイティブ企業と伝統的証券会社が市場シェアを争う中で、近いうちに変化が訪れる可能性があると見られている。