ソフトバンクグループ傘下の米投資会社フォートレス・インベストメント・グループが、今はなき仮想通貨取引所マウントゴックスの債権者のビットコイン支払い請求権を購入している。コインデスクが8日に報じた

東京を拠点にしていたマウントゴックスは2014年にハッキングを受け、約85万BTC、当時の価値にして約4億6000万ドル(約4968億円)を消失した。

現在、マウントゴックスでは民事再生手続きが行われており、マウントゴックスに残っているとされる13万7892BTC(ビットコイン)、16万2106BCH(ビットコインキャッシュ)などの仮想通貨、そして管財人の小林信明氏が換金した約690億円について、債権者に対する返済手続きが進められている。

ただ、巨額請求をする債権者も現れており、債権者にはまだ返済が開始されていない状況だ。

【関連記事:【単独】”ビットコイン億万長者”ピアースのマウントゴックス復活計画に暗雲 なぜ今 巨額仮想通貨めぐり利害を主張?

コインデスクによると、フォートレスの幹部であるマイケル・フーリガン氏は、債権者に手紙を送り買い戻しを提案。マウントゴックス破綻時の価格の1BTC=451ドルではなく、1BTC=900ドルとほぼ2倍で買い戻すことを提案しているという。

また、買い戻しは、ビットコイン(900ドル分)でも可能で、7月31日までが期限だという。

マウントゴックスでは民事再生が始まったことから、法定通貨に換金しての返済だけではなく、ビットコインでそのまま返済することが可能になった。このため、フォートレスの提案がビットコイン返済を望む債権者にとって魅力的なものなのかは不透明だ。

【追記】

今回のフォートレスによる買い戻しについて、マウントゴックスの債権者でNY州の弁護士であるダニエル・ケルマン氏はコインテレグラフ日本版の取材に答え、1BTC=900ドルは少ないという見立てを示した。

買い戻しに応じるかどうかは「債権者個々の判断」によるとしつつも、次のように価値を計算した。

「ビットコインは現在1万2000ドルほどで推移している。消失したビットコインは約20%が残っている。つまり、1BTC=約2400ドルの価値があることになる。さらに、ビットコインキャッシュ(BCH)の価格が約400ドルであることから、80ドルをプラスして合計2480ドルになる」

その上で、ケルマン氏は、管財人のコストなども計上する必要があるだろうが、2480ドルと900ドルでは全く釣り合わないのが現状と解説。それでもフォートレスの話に乗って、900ドルで権利を売るケースが合理的と考えるケースがあるとすれば、次の通りだと述べた。

(1)現金が今ほしい場合
(2)コインラブ問題が解決しないと予想する場合(この場合、一般債権者に戻る額が大幅に減少する可能性がある)
(3)今後、ビットコインが急落すると信じる場合
(4)管財人が残りのビットコインを再び売却すると信じ、ビットコインを保有したい場合

翻訳・編集 コインテレグラフ日本版