楽天の三木谷浩史社長が代表理事を務める新経済連盟が14日、金融庁の仮想通貨規制に対する要望書を発表し、仮想通貨への税率を株やFXと同じように20%にするように求めた。

「暗号資産の新たな規制 に対する要望」の中で新経済連盟は、金融庁に対して以下の5つの項目で規制に対する要望を出した。

とりわけ、5項目の税制に関しては、① 総合課税から申告分離課税への変更 (税率は株やFXと同様に20%とする) 仮想通貨間の交換は非課税とする損益通算や損失の繰越控除を可能とすることを要望。「暗号資産の市場を拡大し、イノベーションの後押しするから、税制が暗号資産への投資の阻害要因とならないように」訴えた。

2017年、国税庁は「仮想通貨での売買益は雑所得(総合課税)、他通貨に交換した時も課税、仮想通貨で商品・サービスを購入した時も課税」と発表。

しかし、最大税率が55%の総合課税に対しては批判の声が出ている。

先日コインテレグラフ日本版がインタビューをした参議院議員(日本維新の会)の藤巻健史氏は、「税金というのは単にお金を集めるというのではなく、国の方向を決める」とその重要性を強調。新経済連盟と同様に、総合課税から20%の源泉課税にするべきと主張している。

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ICO規制「新技術の利用を阻害しない形で」

金融庁の仮想通貨交換業等の研究会では、ICOで発行する投資型トークン(報告書では「トークン表示権利」と表現)について、広く一般に流通する場合には「第一項有価証券」と同様に整理するとしている

この場合、トークンを取り扱うには証券会社のような「第一種金融商品取引業者」の登録が必要となり、新経済連盟は「参入障壁が著しく高まることから、新技術の利活用促進の妨げとならないよう留意すべき」と提言した。

また少人数や少額であったり、適格投資家を対象とする場合には、ICO規制の適用対象外とすべきとしている。

従来「第二項有価証券」として取り扱われているものが、トークン化することによって「第一項有価証券」となれば、「規制が新技術活用の阻害要因となってしまう」と指摘する。

ICOトークンの発行体とトークンを取り扱う仮想通貨交換業者との責任明確化も求めた。ICOに関する情報開示で問題があった場合、交換業者の責任が過大とならいように求めた。

ステーブルコインのルール設計要請

法定通貨とペッグするなど価値が安定した仮想通貨「ステーブルコイン」について、ルール設計をするべきだと提言している。

現状、ステーブルコインは資金決済法上の「仮想通貨」にはあたらないという整理だ。研究会の報告書では注釈で現状の整理と研究会での議論について触れられたのみであり、具体的な方針が示されたわけではない。

新経済連盟はステーブルコインについて既存の規制を適用するのではなく、ステーブルコインのルール導入を求めている。

「為替取引など既存の類似規制をそのまま適用するのではなく、資金決済法上の仮想通貨該当性の線引きも含め実務上のニーズ等を把握した上でトークンの性質を考慮したルール設計をすべき」

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カストディ業務 少額なら規制対象外に

仮想通貨の保管・管理を行うカストディ業務について、金融庁の報告書は仮想通貨交換業と同様の登録制などの規制を設ける考えを示している。

新経済連盟は、一定の業務についてはこのカストディ規制の適用対象外にすることを要請。マイクロペイメントや個人間送金などで少額の仮想通貨を預かる業務といったものを例として取り上げている。

デリバティブ規制 過剰規制に懸念

仮想通貨のデリバティブ取引では、ライセンス面での要請を行っている。金融商品取引法の「第一種金商業」を取得してる事業者が、現物の引き渡しを伴わない仮想通貨取引デリバティブ取引を取り扱うの場合、仮想通貨交換業の登録を経ることなく業務を行えることを求めた。

新経済連盟は「仮想通貨デリバティブ取引を業として行う者が第一種金商業者であっても常に仮想通貨交換業の規制が適用されるのは、過剰規制」と指摘している。