著者 松田康生(まつだやすお)楽天ウォレットシニアアナリスト
東京大学経済学部で国際通貨体制を専攻。三菱UFJ銀行・ドイツ銀行グループで為替・債券のセールス・トレーディング業務に従事。2018年より暗号資産交換業者で暗号資産市場の分析・予想に従事、2021年のピーク800万円、年末500万円と予想、ほぼ的中させる。2022年1月より現職。
ポイント
・29,000ドル台で上下に行って来い
・アルゼンチン大統領予備選でペソ廃止を唱えるミレイ候補がトップに
・通貨防衛の為、中銀はペソ18%切り下げ、政策金利を21%利上げし118%へ
・一方、現物ETFの承認可否は2024年大統領選後との見方も浮上
昨日のBTC相場
昨日のBTC相場はもみ合い推移。
29,000ドル(約420万円)でサポートされ、30,000ドル(約435万円)手前で跳ね返され、回復に失敗、上下に行って来いの展開となった。
BTCは、昨日のCME先物開始前に窓埋め方向に上昇したが、かつてのサポートでレジスタンスともなっていた29,500ドルで跳ね返され、先物取引が僅かに窓を開けて始まると、そのままずるずると値を下げていった。
元SEC局長のジョン・リード・スターク氏が現委員長の下ではBTCの現物ETFが承認される可能性が低いとしたことも影響したか。ただ同氏は2024年の大統領選で共和党が勝利すれば、委員長がクリプトママことピアース委員に変更になるとの見方も示し、発言を肯定的に受け取る報道も見られた。
29,000ドル手前でサポートされるとBTCは反発したが、CME先物の窓埋めを完了すると29,500ドル手前で上昇は一服した。アルゼンチン大統領選の予備選で中央銀行を廃止しドル化を公約するポピュリスト候補ミレイ氏が3割の得票でトップとなったことでエマージング市場に衝撃が走ったこともBTCの追い風となったか。
その後、先日独自ステーブルコイン発行を発表したPaypalが暗号資産プラットフォームをローンチするも市場の反応は限定的だったが、アルゼンチンペソが18%切り下げられるとBTCは29,000ドル台後半に上昇した。コインベースの正式にカナダに進出したことも好感されたか。
しかし、30,000ドル手前で上値を押さえられると、2010年以来動きが無かったアドレスから1000BTC強の移動があったことも嫌気され、29,000ドル台半ばに値を落としている。