米投資銀行の雄ゴールドマンサックスがデジタル通貨開発に積極的になり始めているようだ。

CNBCによると、ゴールドマンサックスは新たなデジタル資産部門のグローバルヘッドにマシュー・マクダーモット氏を起用。マクダーモット氏は資金調達などを手掛けた46歳のベテラン金融マンだ。CNBCとのインタビューで、ゴールドマンサックスが独自の仮想通貨を開発していることを明かした。

「我々独自の法定通貨連動型のデジタルトークンを発行して商業的に利用できないか研究している。まだ初期段階だが、潜在的なユースケースを模索している」

同氏は、ブロックチェーンなど新たな技術によって現状が「破壊」されるだろうとみている。またビットコイン誕生以降、個人投資家や富裕層から機関投資家へと関心は移っており、機関投資家を中心に「間違いなく仮想通貨への興味関心の復活が起きているのを感じる」と述べた。

マクダーモット氏は、「全ての資産と負債がブロックチェーンで管理され、全ての取引がチェーン上で行われる金融システムを今後10年で目撃するかもしれない」と予想した。

2019年2月、JPモルガンが独自のデジタルコインを開発した報じられた

ゴールドマンサックス ビットコインには手厳しい

ブロックチェーン技術やデジタル通貨の未来については完全ベットのゴールドマンサックスだが、仮想通貨ビットコイン(BTC)に対しては依然として厳しい見方をしている。

今年5月ゴールドマンサックスは、顧客向けのウェブキャストの中で、ビットコインや仮想通貨はインフレへ懸念が高まる現在の経済環境においても成功しそうな資産ではないと主張した

「ビットコインを含む仮想通貨は資産クラスとして適切ではない」

また、顧客に対してポートフォリオの一部にビットコインを組み込むことを推奨しなかった。

昨年にはCEOが意味深発言

今回のゴールドマンサックスのデジタル通貨開発を巡っては、昨年にゴールドマンのデービッド・ソロモンCEOが開発を示唆するような発言をしていた

ソロモンCEOは昨年6月のインタビューの中で、決済の未来はブロックチェーンにあるとし、その流れに「間違いなく」乗りたいと語っている。

ソロモン氏は、世界の支払いシステムは、米ドルなど法定通貨と連動するステーブルコインを使う流れになっていると分析。フェイスブック社との間でリブラについて話したかについて明言は避けたものの、「興味深く」みており、ゴールドマンサックスもトークン化について「広範囲にわたる研究」を行なっていると述べた。

また、JPモルガンのJPMコインのような独自通貨発行計画があるかという問いに対しては、次のように答えた。

「世界中の全ての大手金融機関は、トークン化、ステーブルコイン、スムーズな決済の可能性に興味を持っていると思うよ」

大手金融機関でデジタル通貨開発の動き

大手金融機関ではデジタル通貨開発を進めているのはゴールドマンだけではない。昨年2月にはJPモルガンが独自のデジタル通貨「JPMコイン」を開発したことが明らかになった。これはステーブルコインに似た特徴を持っており、企業間の決済で使うことを想定して開発されたものだ。

また米大手銀行のウェルスファーゴは昨年9月、分散型台帳技術(DLT)に基づいたクロスボーダー送金サービス「ウェルズファーゴ・デジタルキャッシュ」の計画を発表している

「ウェルズ・ファーゴ・デジタル・キャッシュ」は、すでにある自社のグローバルネットワークにおける決済処理の効率性の改善、リアルタイムでの決済を促す。また、最終的な決済を第3者企業を通さず実行することで、送金時間とコストを削減すると説明していた。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン