仮想通貨ビットコイン(BTC)とイーサ(ETH)の価格が2020年の最高値を更新する中、1万2000BTCが仮想通貨史上最大の出資金詐欺と言われるプラストークンのウォレットから移動した可能性がある。プラストークンによるBTC売却は昨年夏ころにビットコインや仮想通貨市場全体が下落した要因とみられており、警戒が必要かもしれない。

ブロックチェーンセキュリティ企業ペックシールドの共同創業者であるチアーチ・ウー氏は、2月11日、1万1999BTC(約130億円)と424BTC(約4億6000万円)がプラストークン関連アドレスから移動したと指摘した。

また、大規模仮想通貨取引を追跡するホエールアラートによると、2月11日に1万2000BTC(約130億円)が匿名のウォレットから匿名のウォレットに移動した。ホエールアラートはプラストークンと関連付けはしていない。

 

「史上最大の仮想通貨詐欺」

プラストークンは、ポンジスキームとして知られ史上最大の出資金詐欺と言われている。

中国発のプロジェクトであるプラストークンは、弱気相場の中でも複数の仮想通貨間で裁定取引を行うことなどで毎月8%~16%の投資収益率(ROI)が見込めると約束していた。

プラストークンへの参加資金は、最低500ドル(約5万3000円)。利用者を勧誘することでお金を受け取れる仕組みで、サイファートレースは「典型的なピラミッドスキーム」と指摘。最大29億ドル(約3000億円)という過去最大の損失が出た可能性があると伝えていた。

ブロックチェーン分析企業のチェイナリシスは昨年12月、被害者からプラストークンのウォレットに流れた18万BTC、640万ETH、11万1000USDT、53OMGの総額約20億ドル(約2180億円)を分析。OTC(店頭取引)を通して現金化されたビットコインは少なくとも1億8500万ドル(約200億円)にのぼると指摘し、「因果関係とは言えないまでも、プラストークンの詐欺師たちによる現金化とビットコイン下落には相関関係がある」と述べた。

またチェイナリシスは、現金化されていないBTCが2万BTCほどあることも指摘していた。

1万1999BTC(約130億円)と424BTC(約4億6000万円)の取引はブロックチェーン上で確認されている。前者は複数のアドレスに分けて取引されている。

 

最悪のタイミング?

ビットコインは2月11日に再び1万ドルの大台を回復。年初来で40%以上のプラスを記録した。またイーサは年初来80%以上も急騰しており、強気相場の復活を歓迎する声が相次いでいる。

プラストークンは、仮想通貨相場の回復を待って現金化する可能性があり、市場関係者は警戒を強めている。

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン

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