OECD(経済協力開発機構)は15日、仮想通貨を使った資金調達イニシャル・コイン・オファリング(ICO)を促進するため世界の規制機関に対して協力し合うように呼びかけた。去年以来低迷が続くICO市場だが、一部の専門家からはICO市場復活を期待する声も出ている。

OECDは、ICOをめぐる規制の透明性と監視体制を作ることは、「金融目的で安全に使う上で重要」と指摘。情報公開をめぐる基準の設定やマネーロンダリング(資金洗浄)対策・テロ資金対策などを勧めることで、投資家の保護の強化を進める重要性も説いた。

またOECDは「とりわけ規模の小さいICOの場合、ICOのスピードとコスト面での利点を奪わないような規制や監視体制の仕組みが求められる」と主張。各国の規制機関の裁量に任せるのではなく国際的な協調体制を構築することで、「投資家を保護する一方、ICOが中小企業に対してブロックチェーンを基盤にした資金調達の機会を提供できるようになる」と解説した。

「ICO終焉」ではない

去年以来低迷が続くICO市場だが、仮想通貨取引所ビットメックスのアーサー・ヘイズCEOは先月「市場が復活するとともにイーサリアム (ETH)はすぐに200ドルを試すだろう」と予想。ICO市場について「これまで金融市場と関わりのなかった世界中の個人投資家を引きつけられた」と評価する一方、ICOの代わりとして最近注目されているセキュリティ・トークン・オファリング(STO)についは、「何も新しいことがない」上に「規制も厳しくなる」という見方を示していた。

セキュリティトークンは、現実のアセットを裏付けとして発行されるトークン。トークン保有者に収益を分配するなど、セキュリティ(証券)に近い性質を持ち、金融商品関連法令に従って金融商品として発行される。

また、フィンテック企業エニーペイのICOコンサル事業部の山崎友輔氏は、「ICOはもうだめ」というわけではなく、資金調達の目的に応じてICOとSTOを使い分ける必要性を指摘した。