ニューヨーク連邦準備銀行が9日、仮想通貨に関するQ&A記事を公式サイトに掲載した。同記事は所属する2名の経済学者に対し仮想通貨に関する質問を投げかけるという形を採っている。

 ニューヨーク連銀の調査統計グループの経済専門家マイケル・リー氏とアントニー・マーティン氏は、仮想通貨と金融における信用(トラスト)の基本概念等に関する質問に順に答えた。

 仮想通貨が金(きん)のように「現実の何物にも裏付けされて」いないという考えについて、リー氏は鋭く明言した。

 「それら(仮想通貨)が物理的な物によって裏付けされていないというのは正しいが、ドルやその他の現代通貨のほとんども裏付けは無い」。

 リー氏は、信頼というものが通貨に価値を与え交換手段にするとつけ加えた。仮想通貨の場合、そのような信頼は政府や機関でもなくブロックチェーン技術そのものによって与えられている。

仮想通貨は「通貨の未来」なのか

 仮想通貨は「通貨の未来」になるのかという質問に対しマーティン氏は、仮想通貨が解決する問題は少なくとも「先進諸国」では解決される必要が無いかもしれないと述べ、疑問を呈した。

 「仮想通貨はトラストレス環境問題における決済の問題を解決すると言われるが、それが少なくとも米国や他の先進諸国において解決される必要がある問題であることは明らかでない」。

 同氏は「人々は支払いを処理するのに金融機関を、通貨の価値を維持するのに中央銀行を信用する傾向がある」とし、仮想通貨が主流の通貨として採用されるのを阻む要素として「利便性」と「極度の価格変動率」を挙げた。

 リー氏はインタビューの中で、法定通貨ベースの金融システムへの信頼とビットコインへの関心の間に反比例関係があると述べた。実際、15年に発生したギリシャの金融危機の間、ネットワーク上のビットコインの取引数が最多を記録したという。

 このニューヨーク連銀のインタビュー末部に記載された免責で、経済専門家の意見がニューヨーク連邦準備銀行または連邦準備制度全体の公式見解を「必ずしも反映していない」ことが明言されている。