ウクライナ政府がNFT(非代替性トークン)によるオンライン博物館の売上金を使って、現実世界の文化施設を修復することを計画している。

ウクライナの文化情報政策省による金曜の発表によれば、ロシア・ウクライナ戦争で起きた主な出来事を時系列に記録することを目的とした政府のプラットフォーム「Meta History: Museum of War」が、NFTの販売を通して803.28イーサ(ETH)を調達した。発表時点の時価でおよそ130万ドルに相当する。同省は、販売から得られた収益は「ウクライナの文化施設の修復」に充てられると述べている。それらの施設の多くは、ロシアのミサイル攻撃によって損傷を受けたり、破壊されたりしたものだ。

「ウクライナで戦争が行われている6カ月の間に、ロシアは何百もの博物館、劇場、文化施設を破壊した」と、ウクライナのオレクサンドル・トゥカチェンコ文化情報政策大臣は述べた。「ウクライナの文化と国家遺産は60億ユーロ近い損害を受けており、ロシア連邦の行動と意図から判断すれば、この数字は今後も増加する一方だろう」。

ウクライナの情報技術開発を担当するデジタル変革副大臣のアレクサンドル・ボルニアコフ氏は、次のように付け加えた。

「NFTがロシアのミサイルを止めることはないが、ブロックチェーン技術はウクライナの経済復興と、イノベーションフレンドリーな国としての発展に貢献するだろう」

ウクライナ政府は、現在進行中の紛争で最初にウクライナの標的に対してミサイル攻撃が行われた1ヶ月後の3月に、「Meta History」プロジェクトを立ち上げた。今回調達した130万ドルは、「自由を求めて戦う人々を支援するため」の仮想通貨による寄付を受け付ける目的で同政府が立ち上げたプラットフォーム「エイド・フォー・ウクライナ(Aid For Ukraine)」に投入されるが、文化情報政策省によると、この資金は同国の軍隊のための物資ではなく、復興のために使われるという。

歴史、自然、芸術に対する重要性に基づいて指定された多くの世界遺産の保護を管理しているユネスコの報告によれば、ロシアとの戦争の結果、月曜の時点でウクライナの164の文化施設が部分的に損傷を受けたり破壊されたりしている。この中には、72の宗教施設、12の博物館、32の歴史的建造物、24の文化活動施設、17の記念碑、および7つの図書館が含まれている

「ウクライナの文化遺産に対するこれらの度重なる攻撃は止めなければならない」と、ユネスコのオードレ・アズレ事務局長は6月に述べた。「あらゆる形態の文化遺産は、いかなる状況下でも標的とされるべきではない」。

2月にロシアとの戦争が始まって以来、ウクライナ政府は、デジタル変革省が用意したウォレットアドレスに直接送金された仮想通貨による寄付で、1億ドル以上を集めた。「エイド・フォー・ウクライナ」によると、仮想通貨の寄付は同国の軍隊に対する物資補給の他、人道支援にも充てられる。