仮想通貨(暗号資産)取引所コインベースが、米麻薬取締局(DEA)と内国歳入庁(IRS)の双方に、仮想通貨アドレスを追跡できるブロックチェーン分析ソフトウェアを販売しようとしていた問題で、匿名の情報筋がコインテレグラフに対し、取引所などの事業体と政府機関の繋がりはこれまで数年にわたり、ユーザー監視が行われてきていると明らかにした。
ビッグブラザーは監視を続けている
コインベースの主張に対して、仮想通貨取引所やビットコインATM企業のコンプライアンスに関わってきた匿名の情報筋はコインテレグラフに対し、複数の政府機関がほとんど全ての中央集権的な取引所やカストディサービス企業のユーザーを何年にもわたり監視を続けていることを明らかにした。
特に2014年2月のマウントゴックス社から合計85万BTC(当時約480億円相当)と現金約28億円が消失したとされる事件の後に監視はより広範に行われるようになったという。
ユーザー監視については、米国政府が不審行為報告書(SAR)に掲載されているとしている。
「従来の機関ではほとんどの場合、疑わしい取引は特定の基準を満たす必要がある。しかしビットコインや仮想通貨の場合はそうではない。政府が懸念を示している限り、仮想通貨が少しでも関わっていればすぐに『疑わしい』と判断される」
さらに以下のように続けた。
「カストディアンの事業体はユーザーのその他の活動に関係なく、5000ドル以上の(疑わしい)仮想通貨取引についてSARの提出が法的に義務付けられている。多くのデータは5000ドル以下の金額でも提出される。各事業体はこの報告データをユーザー、一般市民に公開することを法的に禁じられている。事業体はこれを拒否すると罰金や禁固刑になる場合もある。」
何を知りたいと考えているのか
ユーザーの仮想通貨データに最も興味を持っている機関はどこかと尋ねたところ、「報告書はFinCENやIRS、FBI、その他様々な法執行機関と共有されている」という。
機関が必要とするデータについては、
「保持しているコインの種類や、取引の頻度、仮想通貨を購入するために使用した資金の出所、一定期間内に取得した利益などだ。さらにコインが中央集権的なカストディを離れると、どこに送信されたかを追跡する。つまり、コインをコールドストレージに保管している場合、1つ以上の世界政府のどこかのオフィスがそのウォレットのアドレスを知っている可能性が高いということだ。どこにコインを移動させても中央集権型の取引所がコインを保管していれば彼らはユーザーを追跡できる」
監視されているのか?
では政府機関に監視されているうちの一人かどうかはどうやって知ることができるのだろうか。
これについて情報筋は「これまでにアンチ・マネーロンダリング(AML)に関する情報を記入したことがあれば、そのデータが誰かに要求されている可能性が高いと考えられる。仮想通貨ユーザーを監視することはAMLとKYC(本人確認)の重要なポイントだ。なぜサインアップの際にこの情報を収集するのか?あなたは監視されているのだ」
また、SARについてユーザーに知らせることはできないが、事業体の活動報告書提出による影響を知ることはできるようだ。
「凍結されたアカウントや資金だ。さらにアカウントのアクセスを禁止されるようなログインの問題が起きた時も報告されている可能性が高い。」
こうした監視を回避する方法として、情報筋は以下のように答えた。
「分散型取引所の利用や匿名通貨は私が知っている唯一の答えだ。中央集権型取引所の利用は危険を冒さなければならないだろう」
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン