ナスダックが公表した2024年の「グローバル金融犯罪レポート」によると、過去1年間の金融犯罪に関連するデータが示された。ビットコイン(BTC)や仮想通貨の言及がなかったことは、犯罪の手助けとなる際には法定通貨が主役であることを再確認させるものだった。
報告書は、金融犯罪が「数兆ドル規模の問題」であることを強調している。ナスダックは2023年に約3.1兆ドル(457兆円)の不正資金が世界の金融システムに流れたと推定している。マネーロンダリングを通じて、これらの資金は人身売買や麻薬取引、テロ資金調達といった犯罪を助長した。

不正資金の中で、ナスダックは7829億ドルが麻薬取引に関連しており、3467億ドルが人身売買に結びついているという。さらに、報告書は約115億ドルがテロ資金調達に使われたと強調している。これらに加えて、2023年には4856億ドルが詐欺によって失われた。
報告書の中で、ナスダックの会長兼CEOであるアデナ・フリードマン氏は、金融機関が「数十年にわたってこの問題の最前線にあった」と述べた。同CEOは、ナスダックが詐欺防止に取り組み続けていると書いている。
フリードマン氏は、ナスダックが詐欺防止に対する圧力に応じているが、単独では不可能だと語った。フリードマン氏は次のように説明する。「結局のところ、金融犯罪という複雑な問題を解決するのは、1つの会社、業界、技術、あるいは政府だけではない。解決策の一部となる責任は、私たち自身と世界に対してある」。
テザーのパオロ・アルドイノCEOは、数兆ドル規模の金融犯罪問題を「非常に」警戒しているとコインテレグラフにコメントした。彼は、問題を解決するのは1つの会社だけではないという見解を共有し、「多国間協力を通じてのみ、これらの不正行為を止めることができる」と述べた。
アルドイノ氏によると、テザーは世界中の法執行機関と協力して、犯罪活動に関連するアドレスやウォレットの凍結を続けており、既存の金融機関にも同様の行動を取るよう呼びかけている。
「テザーは、破壊的な金融犯罪を停止させるため、法執行機関との協力的なアプローチに尽力しており、ナスダックの報告書で呼びかけられているように、既存の金融機関もテザーが行っているように役割を果たすべきだ」とアルドイノ氏はコメントしている。
1月18日に公表されたブロックチェーン分析会社チェイナリシスの報告書では、仮想通貨業界の違法取引においてステーブルコインが頻繁に使用されたと指摘されている。ステーブルコインの不正取引量はビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)、他のアルトコインを上回った。
一方で、投資会社ヴァンエックのデジタルアセット戦略ディレクター、ガボール・グルバクス氏は、ナスダックの報告書にBTC、仮想通貨、ステーブルコインの言及がなかったことを指摘し、銀行や機関が犯罪活動の「主要な伝達路」であると強調した。
翻訳・編集 コインテレグラフジャパン