NASAが航空管制業務にブロックチェーン技術活用を提案 ハイパーレジャーファブリックをベースに

アメリカ航空宇宙局(NASA)は10日、航空管制へのブロックチェーン技術活用を提案する論文を公式サイトに掲載した。航空機の通信の安全性を確保するため、ブロックチェーン技術が有効な手段になる得るという。

NASAが提案するシステムは、オープンソースの許可制ブロックチェーンを採用する予定で、航空管制部局と安全かつ非公開、匿名で通信できるようにすることが目標だ。NASAの論文には以下のように記されている。

 「提案するシステムの特徴は、認証局(CA)やスマートコントラクトのサポート、特定の航空機と特定の権限保有者間で安全な通信を行うために使用する可能性がある機密情報用の高帯域幅通信チャネルだ」

論文によると、同システムのエンジニアリング・プロトタイプは、ハイパーレジャーファブリックを採用しており、迅速に配置できることや経済上無駄なく維持できることが実証済みだという。

リナックス財団が設立したハイパーレジャーは、ブロックチェーンベースの分散型台帳の開発を推進するために設立されたオープンソースプロジェクトだ。昨年12月には、アリババ・クラウドやシティ、ドイツテレコムなど、大企業を始めとする12の新規メンバーが同プロジェクトに参加している。

NASAの論文によると、20年までに搭載が義務付けられる予定の「自動従属監視システム(ADS-B)」は、航空機の位置情報を公開状態で送信することから、虚偽の位置情報を伝えるといった、第三者によるなりすましの危険を伴うという

研究者は、プライバシーの問題やなりすましの両方に対処するために暗号化の履行を提案している。さらに、論文では、暗号化を使った解決策の難点について以下のように説明している。

「提案する公開鍵基盤(PKI)スキームの大半に潜む懸案事項は、飛行中の航空機が利用できる方法で公開鍵の枠組みを実装することが難しい点だ」

NASAの論文によると、企業向けのブロックチェーン・ソリューションは、航空機への応用に適した実用的なPKIに成り得るという。論文にはこう記されている。

 「これらのブロックチェーンスキーマの長所は、エンドユーザーが単一の組織に所属する必要がなかったり、単一のクライアント/サーバー・プロトコルに準拠する必要がなかったりする、PKI基盤の実装を可能にすることだ」

プロトタイプでは、ユーザーの登録や発行、登録証明書の更新・取り消しに、ファブリックCA (認証局) が採用されている。NASAの論文によると、同システムにより、「ADS-Bシステムは、全米航空システム(NAS)でレーダーベースのシステムが現在提供しているレベルと同等かそれ以上のレベルのプライバシーと安全性を保有できるようになる」という。

ブロックチェーン技術を航空・宇宙分野で活用しようとする動きは既に始まっている。NASAはブロックチェーンに基づいた自律的な宇宙船システムの開発を支援するために、33万ドルの補助金を助成している。また昨年12月にはブロックチェーン開発企業のブロックストリームが、人工衛星とビットコインのブロックチェーンをつなぐサービスを拡大。5機の人工衛星を通じて、ほぼ全世界をカバーできる体制にした。

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