モスクワ仲裁裁判所は先月26日、審問で「破産した債務者の仮想通貨を差し押さえて、債権者への返済にあてることはできない」と判決を下した。ロシア地場メディアのRBCが伝えた

 ファイナンスマネジャーで債権者のアレクセイ・レオーノフ氏は裁判所に対し、債務者のイリヤ・ツァルコヴ氏の仮想通貨資産の差し押さえを許可するよう要請。ウェブサイト「Blockchain.info」の仮想通貨ウォレットのパスワードを提供するようツァルコヴ氏に命令することを求めた。

 裁判所は、ツァルコヴ氏がビットコインの仮想通貨ウォレットを所有していることを示す文書を確認したが、債務者の仮想通貨を差し押さえて債務を支払わせるという要求は却下した。

 モスクワの法律事務所ヘッズコンサルティングの役員ニキータ・クリコフ氏によると、ロシアの仮想通貨に関する法律は現時点では整備が進んでいないため、裁判所は他に結論を出しようが無かったという。

 「裁判所が仮想通貨の差し押さえを許可したら、ロシアの法律で仮想通貨が金銭として認められることになる。それは中央銀行の立場に反する」と説明した。

 レオーノフ氏は裁判所の決定に反論している。ロシアの仮想通貨の法律での扱いは曖昧ではあるが、債権者が差し押さえられる資産に含めてはならない理由は無いと主張。「過去の判例に囚われていると、今後の仲裁裁判で資産の流出が起きる可能性がある」と続けた。

 コインテレグラフで既報の通り、ロシア政府は今年7月までに仮想通貨やICO、取引所に関する法整備を終える予定だ。