法的な結婚の手続きや、裁判での紛争解決、行政サービスの提供が、メタバース上で行われる日が来るかもしれないと、シンガポールの政府高官が発言している。

シンガポールのエドウィン・トン第2法相は、7月20日に開催された「TechLaw Fest 2022」で演説を行い、結婚式のような高度にパーソナライズされた私的なイベントでさえ、メタバースにおいてオンラインで行われていると主張した。

「婚姻の届け出だけでなく、他の行政サービスも、すぐにメタバースを通じてオンラインで利用できるようになることは、考えられないことではないだろう」

大臣はさらに、メタバースでの司法サービスに関しても、「司法サービスで同じことができない理由はない」と述べた。

「パンデミックによって、かつては人と人とが直接関わる物理的なプロセスと見なされていた紛争解決でさえ[...]ほぼ完全にオンラインでできることが、すでに示されている」

トン大臣はその一例として、建設現場事故に関わる法的な争点を、拡張現実(AR)技術を使った「単一の仮想プラットフォーム」を通じ、3次元で確認することを挙げた:

「実際のトンネルや石油貯蔵施設に入り込み、実際の空間を表現した拡張現実の視点から、建設事故に関する争点を確認することができる」

トン大臣は、そのような技術が加わっても、従来のオフラインでの審理ができなくなるわけではないと述べた。そして、「ハイブリッドな要素が常に存在しうる」と指摘した:

「そのような統合プラットフォームは、紛争解決プロセス全体をより便利で効率的なものにすると信じている。それは、世界の他の国々の発展に、遅れを取らずについていくものだ」

今年メタバースプラットフォーム「ディセントラランド」が、メタバース上で初めての結婚式を開催している。式には2000人のゲストが仮想的に集まり、法律事務所「ローズ・ロー・グループ」が結婚を法的に成立させた。同グループのジョーダン・ローズ創業者兼社長は、ブロックチェーンベースのメタバースで開催された史上初の結婚式だったと主張している。