マレーシアの林冠英(Lim Guan Eng)財務相が、仮想通貨を発行しようとしている者は全て、同国の中央銀行であるマレーシア国立銀行(BNM)に従わなければならないとのべた。現地の英語日刊紙ニュー・ストレーツ・タイムズ(NST)が11月26日に伝えた

林財務省は、同国与党である人民正義党(PKR)に所属する国会議員、陳儀喬(Tan Yee Kew )氏の質問に答え自らの姿勢を説明した。報道によれば、陳氏は仮想通貨が金融システムおよび法定通貨にもたらす可能性のあるリスクについて、どのような方法で評価されているのか質問した。

陳氏の質問は政府が後押しをしているとされる仮想通貨「ハラパンコイン(Harapan Coin)」のプロジェクトに関連して行われた。同コインは間もなく、中央銀行およびマハティール・モハマッド首相に提示されることになっている。

ハラパンコインは、仮想通貨とブロックチェーン技術を展開する世界初の政治資金調達プラットフォームになると主張されている。先週、マレーシア国会は政府に対し、同コインの計画を進める前に仮想通貨規制を実施するよう要請している。

コインテレグラフが以前に報じた通り、マレーシア国立銀行は当初、数ヶ月間の準備作業を経て、18年前半に仮想通貨の利用を規制する中央銀行令を出すことを計画していた。

林財務相は陳氏の質問に対し慎重な姿勢で回答。金融の安定性に対する仮想通貨の体系的な影響はまだ調査中であり、仮想通貨の発行を検討している者は全て、中央銀行の規制方針に従わなければならないと強調した。

 「ビットコイン式の仮想通貨を導入しようとしている者は全て、まずは金融メカニズムに関する判断権限を持つマレーシア国立銀行に照会することを助言する。我々は(仮想通貨の)妨害を望んでいるわけではなく、常に偏見のない開かれた姿勢を持っている。しかし、既存の法律には従わなければならない。国立銀行のガイドラインなしに何かをしようとしたり、法律を犯して何かをしようとしたりしてはならない」

ニュー・ストレーツ・タイムズ紙はさらに、カリッド・アブドゥル・サマ連邦領相が11月13日、ハラパンコイン・プロジェクトをマレーシア国立銀行と首相諮問委員会に提示するための全ての書類が整ったことを明らかにしたと伝えている。だがこの提案は、多くの市民や政治家の厳しい批判を集めてきた。市民社会グループ「センター・フォー・ベター・トゥモロー(Cenbet)」は政府に対し、「流行ではあるがまだテストされていない仕組み」を始めることに「過剰に熱心である」と非難している。

同国は2月、新たな反マネーロンダリング(AML)法の施行を受け、仮想通貨取引所にトレーダーの全面的な身元確認を義務付ける法案を可決した。これについて林財務相はマレーシアが所得税や関税の課税逃れ、密輸、不法な資本流出など、幅広い違法な資金流出に対し苦労して取り組んでいることを説明している。